玉置成実“彗星の如く現れた謎の美少女”から約20年…「私らしい曲といえばSEED、切っても切れないもの」、デビュー当時のガンダム旋風について明かす
デビュー20周年を迎えた玉置成実が、1月24日に新曲「Reborn」をリリース。本作は1月26日(金)より劇場公開となる『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のオフィシャルサポーターソングとして起用されている。これまで「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」のオープニングテーマやエンディングテーマを担当してきた彼女が、当時を彷彿とさせるサウンドで”再会”をテーマに制作した本楽曲。今回のシングルとこれまでの活動について、玉置に想いを聞いた。 【写真】2003年…「彗星の如く現れた謎の美少女”・玉置成実」のジャケット写真 ■新曲「Reborn」は「約20年前のSEEDを見ていた時の自分に戻るような楽曲にしたかった」 ーー『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のオフィシャルサポーターソングを担当することになった時の気持ちをお聞かせください。 『機動戦士ガンダムSEED』は玉置成実の原点である作品なので、“SEED×玉置成実”はこれだ!っていう曲を作りたいなっていう想いでしたね。 ーー「Reborn」はこれまでの『ガンダム』サウンドがちりばめられている印象でした。玉置さんが初めて聴いた時はどのような印象でしたか? 楽曲を初めて聴いた時に、「これだこれだ!」って思いました。皆さんが聴いた瞬間に、『SEED』を観ていた時の自分に戻っちゃうような曲にしたくて。楽曲を聴いた後、作詞家のshungo.さんと打ち合わせをさせていただいたんです。その時『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の脚本を読んで、読みながら感じたことをノートに書いて、shungo.さんに渡しました。私が感じたことをshungo.さんが綺麗に拾ってくださいました。 ーーshungo.さんとのやり取りでは、具体的にどのようなことを伝えましたか? 今回の作品ではキャラ同士の信頼関係がより深く構築されているので、そういう部分があると良いなと思いお伝えしました。あとは“流星”っていう単語をノートに書いていたんですけど、それを歌詞に入れてくださっていて。「同じ宙(そら) 見上げてる」ってフレーズは、キャラ同士の信頼関係がより構築されていることをイメージして作詞してくださったのかなと思います。 ーー「Reborn」の聴いてほしいポイントを教えてください。 「Reborn」はパワフルなんですけど、哀愁がある楽曲になっています。なので歌でも強さはありつつも、強弱や深さを出せればと思って工夫しました。サビ、Aメロ、Bメロで少しずつ歌い方を変えていているので、そういった変化を楽しんで聴いていただけたらなと思います。 ■新曲のMVには「Believe」と「Reason」の“鉄パイプ”や当時の白ウィッグ・衣装も登場 ーーMVの制作秘話があればお聞かせください。 今回の曲は「SEEDシリーズ」楽曲の集大成ですし、玉置成実20周年の集大成の楽曲でもあるので、これまで担当してきた曲を集約したくて。今回のMVは、これまでのMVを見てくださっていたファンの皆様にニヤニヤしてもらえるポイントをたくさん作りたいと思って作りました。なので過去のMVのオマージュがたくさん入っています。「Realize」とか「Believe」の振付が時折入っていたり、白いウィッグも「Believe」の似たようなカットで撮ってもらっていたりとか。あとは後半に鉄パイプを持ってるシーンが出てくるんですけど、「Believe」と「Reason」でも持っていて。それとメインとは別のつなぎの衣装は「Believe」で着ていたものです。そんな感じでMVは“エモい”作りになっています。 ーー「Reborn」が『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のオフィシャルサポーターソングに決定したのはいつ頃でしょうか? 2023年の秋頃です。なので怒涛の制作期間でした(笑)。つい先週のようですよ。仮歌の状態で振り付けをやっていましたね。 ーーそれは…すごいスピードで制作されたんですね。カップリング曲の「Affection」はご自身で作詞されていますね。 そうですね。私が思う「ラクス・クライン」をテーマに書いています。これまでは一人称が「僕」で主人公のことを歌ってきたんですけど、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の脚本を読んで、「ラクス・クライン…最高じゃないか!」と思ったんですよ。彼女の強さや優しさとか、あとは…これまでで一番“人間らしさ”を感じたんです。人としても成長している姿に感銘を受けました。 ――なるほど。たしかにこれまでのラクスはある意味完璧で、神様に近いような、どこか人間離れしている印象がありましたが、今回は人間らしさを感じますね。 最初は女性陣をトータルして書こうと思っていたんですけど、今回はラクスしかないと思って、彼女のことを歌詞にしました。普段は“愛”って単語を歌詞に入れないんですが、今回はしっくり来るなと思って取り入れましたね。 ■『ガンダム』のおかげで「長く愛してくださっている方たちがいる」 ーー2014年にはガンダムソングのカバーアルバム「NT GUNDAM COVER」を出されていたり、玉置さんの音楽活動と『ガンダム』は切り離せないものですよね。 そうなんです。当時それまでに出てる『ガンダム』関連の楽曲を全部聴いて、その中で歌いたい曲をピックアップさせていただきました。選びきれなかったんですけど、泣く泣く厳選しましたね。 ーーそんな玉置さんの歌手人生の中で「『ガンダム』から受け取ったもの」は何でしょうか? 海外に行った時に、現地のお客様が日本語で一緒に歌ってくださるんですよ。海を渡って沢山の方が聴いてくださっていて、そういった人との繋がりを与えていただきました。長く愛してくださっている方たちがいることですね。 ーー『ガンダム』は関わっていく中で好きになっていったのでしょうか? そうですね。段々好きになっていきました。母が元々ガンダムオタクで、すごく身近にあったんですよ。いつもシャアについて熱く語ってて。母の使っているキーホルダーもシャアでしたし、今思うと相当好きだったんだなと。私にもガンダムオタクの血が流れているのかなと思います(笑)。私は『SEED』から『ガンダム』を観るようになったんですけど、当時は私も中学生で、キラ達も同世代で感情移入しやすかったですし、『SEED』は女性も入りやすい作品だと思います。私自身が戦争を経験したことはないですが、今の時代は少し近いものがあって、改めて『SEED』を見ると胸が痛くなります。 ーー『ガンダム』の曲を本当に沢山歌ってこられましたね。デビュー曲が『SEED』のOP曲で大ヒット…強すぎる『ガンダム』のイメージは歌手活動にも影響があったのではないでしょうか。 はい。どの作品に対してもすごく愛情はあるんですけど、『ガンダム』は“玉置成実の始まり”なんですよね。今もデビュー当時の気持ちを思い出させてくれます。玉置成実らしいとされる曲って、“SEED×玉置成実”なんです。『SEED』がなかったら全然違う曲になっていたと思いますし、切っても切れないものですね。 ■大ヒット曲を出した当時「売れている実感はなかった」、振り返る当時のSEED旋風 ーー『機動戦士ガンダムSEED』の盛り上がりを感じた思い出のエピソードがあればお聞かせください。 昔というよりも、今の方が感じますね。今の盛り上がりを見ると、こんなに年月が経っているのに皆の熱は冷めていないどころか、むしろファンのみなさんの熱は大きくなってると感じます。あとは当時見ていた人たちと仕事をする機会が増えてきて、「小学生の時からSEEDが好きでこの仕事を目指しました」みたいな声を聞くようになりました。だから今の盛り上がりがすごいなと思います。 ーー「Reason」や「Believe」「Reason」が大ヒットしたなと感じた瞬間はありますか? それが、実は全然ないんですよ。当時はSNSもなかったですから。でも昔BBSっていうネットの掲示板があって、そこのコメントを見て少し感じることはあったかもしれないですね。最初は「彗星の如く現れた謎の美少女」っていうキャッチコピーだったので、表に出る機会もあまりなくて。音楽番組もそんなに出ていなくて、「喋らないでほしい」って言われてました(笑)。喋ると謎めいたキャラが崩壊するので。売れている実感もなく、がむしゃらにやってました。「Realize」を出した後に街で声を掛けられることがあって、その時ようやく「曲が世の中に出てるんだ」って思いましたね。 ーーでは続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の時は状況が変わっていましたか? そうですね。実感し始めていた頃です。『DESTINY』で初めてエンディング曲を担当したので、緊張しましたよ。次の週も早く見たくなるようなエンディングになれば良いなと思っていました。なのでしっとりというよりは、ダンサブルな曲にチャレンジしましたね。 ■デビュー当時と現在を比べて「今が一番楽しい」 ーー『ガンダム』が多くの人々に愛され続けている理由は何だと思いますか? 機体のカッコ良さが一つの理由としてあるのかなと思います。私はジャスティスガンダムがすごく好きで。カッコ良いじゃないですか。でも作品を実際に見るとドロドロしてて、人間味がある。どの『ガンダム』も人間関係がしっかり描かれていますよね。あとは主要なキャラがどんどん散っていくところも、観る方はつらいけど心に刻まれる要素でもあると思います。ドラマチックで残酷、でもそこに希望がある。それが『ガンダム』が愛される理由だと思っています。 ーー『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の上映が楽しみですね。 そうですね。脚本を読んでもキャラクターの成長が感じられたんですけど、映像だとどんな風になるのかすごく楽しみです。皆の成長をこの目で早く見たいなと。あとは戦闘シーンが今のアニメ技術でどのように描かれているのか、映画館で見るのが楽しみで仕方ないです。 ーーデビュー当時と現在を比べて変わったことがあればお聞かせください。 めちゃくちゃストイックでしたね。家でずっと歌っている子だったんですけど、体型管理のために2週間ずっと食べないみたいな。全身にラップ巻いて、サウナスーツ着て走るとか。ちょっとやりすぎている感じだったんです。今は緩くなって、自分を褒めることができたり、休みって大事だなって思えたり。ストイックな面も残ってはいるんですけど、楽しくできるようになったかなと思います。今が一番楽しいですね。 ーー最後に、今後どのようなアーティストを目指して活動されていくのかをお教えください。 私はデビュー当時から「ジャネットジャクソンになりたい」と言い続けていて。彼女は今も現役でパフォーマンスしていて、すごくパワフルなんです。まだまだ自分にできないことは沢山ありますし、技術面でももっと勉強して練習して、パフォーマンス力を上げていきたいです。この先もその時のベストを届けていけるように、頑張っていきたいですね。 取材・構成/WEBザテレビジョン 加藤由盛