新型ランドクルーザー250シリーズは、プラドのあらゆる面が洗練されたオフローダーだった! 乗り味の“激変”に迫る
トヨタの新しい「ランドクルーザー250シリーズ」に、大谷達也がオフロードで試乗した。従来のプラドとの違いに迫る! 【写真を見る】新型ランドクルーザー250シリーズの内外装など(130枚)
わずか数cmの差が大きい
最新のランドクルーザー250は、ランドクルーザー・プラドと名乗った150の「後継モデルではない」というのがトヨタの公式見解。ただし、ステーションワゴン、ライトデューティ、ヘビーデューティの3シリーズがあるランドクルーザーにおいて、ライトデューティーの系譜が150から250へと引き継がれたのは事実。そこには、やや華美になりすぎたプラドに対して“質実剛健を追求し、ランクルの原点に回帰”するという小さな路線変更もあったけれど、多くのファンは“250は150の後継モデル”と、捉えるだろう。 そこで、オフロードを舞台におこなわれた試乗会では、150と比較しながら250を走らせてみた。まずは、ややぬかるんだ林道コースに挑む。 直前に試乗した旧型の150に比べると、ディーゼルエンジンがかかる瞬間のバイブレーションやノイズは250のほうが明らかに小さい。 さすがにそれらがまるでないわけではないけれど、250は不快な成分をうまく抑え込んでいて嫌な印象を与えない。これだけでクルマの質感がグッと上がったような気がするくらいだ。 林道コースの印象でいえば、150の乗り心地も決して悪くなかった。けれど、ステアリング・ギヤ比がやや遅く、タイトコーナーではステアリングをまわすのにせわしい思いをする150に比べると、250はすっとステアリングを切っただけでクルリと曲がってくれるので運転がより楽に感じられる。 それ以上に驚いたのが、下り坂で軽いブレーキをかけながらステアリングを切ったときのこと。ここを250はなにごともなくすっと通り過ぎたのに対し、150はタイヤがズルッと数cmほど滑ったのである。 いずれもオールテレインタイヤ(オフロードとオンロードの両方を走れるタイヤのこと)を履いていたものの、銘柄が異なっていたのでタイヤ性能にも多少の違いはあったはず。それにくわえて250は上級モデルの300と同じ最新の「GA-Fプラットフォーム」を採用。おかげで足まわりがより忠実に路面に追従するようになった結果、150はズルッと滑ったのに、250は何ごともなく通り過ぎることができたものと推測される。 なぜ、私がこの数cmの“ズルッ”にこだわるかといえば、これがときにスタックするかしないかの分かれ目になりかねないからだ。 滑りやすい路面で身動きがとれなくなるスタックは、たいていの場合、数cmほどタイヤが滑ったことをきっかけにして始まる。続いてタイヤが激しく空転し始め、これで路面が削れて余計にグリップしづらくなるという悪循環に陥ってしまうのだ。