龍山 最後の戦没者慰霊祭 浜松市天竜区の団体 高齢化で解散 遺族ら鎮魂の祈り
浜松市天竜区龍山町の龍山地域戦没者を慰霊する会が23日、戦没者慰霊祭を同町の慰霊碑前で開いた。会員らが、西南戦争から第2次世界大戦までに亡くなった旧龍山村(現・龍山町)出身者に鎮魂の祈りをささげた。会員の高齢化を理由に慰霊祭は今回が最後となり、同会は解散する。 小雨が降る中、同町の永源寺の前住職松本尚武さん(79)が読経し、参列者が5基の慰霊碑と位牌(いはい)に手を合わせて戦没者の冥福や平和を祈った。 同会は2018年、龍山遺族会が解散した後の活動を引き継いだ。慰霊碑の維持や慰霊祭開催などに尽力してきたが、戦没者遺族ら会員は6人まで減った。 来年以降は、旧龍山村が主催した時代の慰霊祭開催日4月20日に有志で集まり追悼する予定。会員の高村定明さん(86)は「来られる限りは来て、手を合わせたい」と語った。 慰霊する会は解散を見据えて昨年、地域から寄付を募り石碑の周囲をコンクリートで舗装するなど維持に向けた環境を整えた。3歳の時、父を中国戦線で亡くした同会代表の滝山文男さん(81)は「地域の寺に預けている位牌の管理も含め、今後について考えていきたい」と話した。 過疎、高齢化が進む天竜区内では戦没者を供養する営みの継続が困難となっている。同区水窪町の遺族会は昨年、祭壇の設営や供え物の用意といった準備の負担などを理由に戦没者の慰霊大祭をやめた。遺族会は戦没者の遺族で構成している。幹事の山道光一さん(67)によると、近年は会員が100人を下回り運営が難しくなっている。 毎年8月に行っている慰霊塔を開扉して追悼する行事は実施する予定だが、来年以降は未定。
静岡新聞社