飯田下伊那とのつながり実感 三平さん、たっぷり語る【長野県】
市民落語鑑賞会「おいでなんしょ寄席」の実行委員会は4月3、4の両日、第13回「おいでなんしょ寄席ツアー」(旅行会社が企画・実施)を催行した。30人が都内と横浜市を訪ね、長野県の飯田下伊那地域と落語のつながりを確認した。 初日に上野の落語協会2階「黒門亭」で開いた「おいでなんしょ寄席出張落語会」には、二代目林家三平さんと飯田出身の橘家圓十郎さんが登場。三平さんは歌舞伎を題材にした「四段目」をよどみない口調で演じ、圓十郎さんは「宮戸川」で楽しませた。 三平さんは「下伊那は親しみ深い」と切り出すと、下條村にある義兄・峰竜太さんの実家で過ごした子ども時代の夏休みを振り返り「カブトムシを捕まえたり、自転車で天竜川に遊びに行った。軽トラでビールを運ぶ手伝いをして、ハエ取り紙が髪にくっついて大変だった」などと冗舌に語った。 姉の美どりさんと峰さんの披露宴に一門とバスで出向いた記憶も含め、マクラに30分を費やすなど、小規模な落語会ながらサービス精神たっぷりだった。 三平さんとツアーのかすがい役となった圓十郎さんは「ふるさとに帰るといつも『遠い所へよくお越しくださいました』と言われるので、今日は私から言わせてもらいます」とツアー参加者をねぎらうと、演じ慣れた一席で笑いを誘い、終了後も車内と横浜中華街での懇親会を盛り上げた。 初日最初の目的地は、文京区の湯島天神(湯島天満宮)。昨年12月に他界した飯田市出身の寄席文字書家で、おいでなんしょ寄席のプロデューサーを35年にわたって務めた橘左近さん(享年89)が揮毫(きごう)した寄席文字が刻まれた「講談高座発祥の地」を見学し、左近さんをしのんだ。