「富山のとてつもないサウナ」を体験。一棟貸しのサウナホテルで大人の非日常を味わう
サウナルームで我慢比べのように汗をかいたあとは、インフィニティプールのような水風呂へ。立山連峰の雪解け水を地下から汲み上げた水風呂は、掛け流しのため透明度が高く、水に浸ると空と大地が溶け合う空間に浮かんでいるような感覚に包まれる。 天然の井戸水を全身で体感しながら、一瞬の緊張を見送ると次第に体が温まる。頃合いを見計らってデッキチェアに寝転ぶと、お待ちかねの“整う”時間が訪れる。キッチンの冷蔵庫には「ヘルジアン・ウッド」で栽培されたフレッシュグリーンを用いたハーバルウォーターも常備され、水分補給にも一興の味わいがある。
翌朝、7時前に目覚めてサウナに向かうと、ちょうど朝日が昇る頃だった。ゆっくりと汗をかきながら体を目覚めさせ、水風呂と新鮮な外気を全身に取り込む。このプリミティブな身体の作用を繰り返していると、“今日”という一日、“今”という瞬間に心がフォーカスされる。 日常に蓄積していた些細な澱までも、汗に溶かしてすっかり流し切ってしまうと、空腹の虫が騒ぎはじめた。前日から買い込んでおいた、富山の特産品である昆布尽くしの朝食を準備。ここ富山は北前船の拠点となったことから、上質な北海道産の昆布を加工する過程で、巧みが凝縮した外側を削り出した“黒とろろ昆布”が、ソウルフードとして親しまれてきた。 酸味の効いた黒とろろ昆布のおにぎりをはじめ、クルマダイや白エビの昆布締めなど……海の恵を存分に味わう。こんな風に、きままな食のセレクトと時間配分が構築できることも、大人のサウナリトリートの魅力といえる。 「The Hive(ザ・ハイブ)」 住所:富山県中新川郡立山町日中上野18 電話:070-8813-6905 TEXY BY TAKAKO KABASAWA 樺澤貴子(かばさわ・たかこ) クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークや、日本の手仕事を礎とした商品企画なども手掛ける。5年前にミラノの朝市で見つけた白シャツを今も愛用(写真)。旅先で美しいデザインや、美味しいモノを発見することに情熱を注ぐ。 ※記事に記載の住所を訂正しました。2024年4月2日