【南井克巳元調教師 剛腕の視点】ペースに惑わされず自分の競馬に徹したルガル スプリンターズS
「スプリンターズS・G1」(29日、中山) 秋の電撃王に輝いたのは9番人気のルガルだ。デビュー7年目の西村淳に導かれ、超ハイペースを3番手からの横綱相撲で人馬そろってG1初制覇。見事に1番人気で10着に敗れた高松宮記念のリベンジを果たした。2着は5番人気のトウシンマカオ、3着には4番人気ナムラクレアが入り、1番人気のサトノレーヴは見せ場なく7着に終わった。 ◇ ◇ 勝った西村(淳)君はペースに惑わされず、自分の競馬に徹したね。ノリ(横山典)ちゃんのピューロマジックが飛ばして前半は32秒1だったけど、そこから6馬身ぐらい離れた3番手だから33秒台のはず。平均ペースで、ルガルは運べた。もともと高松宮記念で1番人気を背負った馬。力は当然あるし、ジョッキーも自信があったと思う。 パドックで一番良く見えたのはトウシンマカオだった。僕が栗毛好きというのを差し引いても、馬体の張りや、雰囲気、風格があった。5歳で完成形に入っているんだろう。今の中山はインの馬場が悪くないのにも助けられたが、うまく立ち回って、この馬の持っているしまいの脚を出し切ったね。 今年のレース全体を見ても、前がごちゃついたり他馬と接触したりと目立つ不利はなかった。みんな力を出したと思うよ。そういう意味で1番人気のサトノレーヴも悪くはない位置で運んだが、しまいは動けなかった。函館、札幌と本当に強い競馬で、僕もこの馬が一番強いと思っていただけに残念ではある。 最後に3着のナムラクレア。しまい勝負にかけて、外に持ち出してからは一番の脚を使ったんだけどね。もう少し前の位置で競馬ができればと毎回思うんだけど、難しいのかもしれない。ただ大舞台で惜しい競馬をしているし、力のある馬だから。何とかG1を勝ってほしいね。(元JRA調教師)