ロシアのドローンをウクライナの地上ドローンが牽引、ドローン戦争の新たな地平
<ドローン戦争の最新フロンティアというべき地上ドローン(無人地上車両)の怖さ>
ウクライナ軍の地上ドローン(無人地上車両)が、墜落したロシア軍の無人偵察機を牽引している様子とみられる新たな動画が、ソーシャルメディアに掲載された。ロシアの本格侵攻から丸2年、ウクライナ軍は地上を走行し戦闘もする無人車両の投入を強化しており、ドローン戦争の新たなフロンティアを思わせる動画だ。【エリー・クック】 【動画】ロシアのドローンをウクライナの地上ドローンが牽引する、新たな前線 2月5日にソーシャルメディアに共有された動画には、ウクライナ軍の地上ドローンが、ロシア軍の無人偵察機「オルラン30」とみられる物体を牽引している様子が捉えられている。撮影場所は特定されていない。この動画は当初、ロシアとウクライナ両国の装備が被った損害を記録しているテレグラムのアカウントに掲載された。 オルラン30は、ロシアの無人偵察機「オルラン10」を大型化したバージョンで、ロシア国営メディアでは、「標的の探索と特定に重要な役割を果たす」と謳われている。 このショート動画の出所は、ウクライナの国家警察とされているが、最近ここから公開された動画には見当たらない。
■機関銃装備の地上ドローンも
ウクライナは、無人機技術の開発に重点的に取り組んでいる。同国の無人水上艇(無人艇)や無人航空機(無人機)は、黒海沿岸のロシアの軍事施設や軍艦を標的にしたり、国境を超えてロシア領に侵入するなど、メディアでも頻繁に取り上げられる。 一方でウクライナ政府は、地上ドローンの開発にも抜かりなく取り組んできた。地上ドローンは幅広い任務の遂行が可能で、ウクライナ軍の兵士の代わりに危険な場所に行くこともできるという利点がある。 ウクライナは2023年、「ロボット軍」計画も明かしている。これは、上空で任務を行う「ドローン軍」と併置する形で、地上戦を担うロボット車両部隊を開発する取り組みだ。 ウクライナにおけるドローン開発の中心でデジタルトランスフォーメーション担当大臣のミハイロ・フェドロフは2023年9月中旬、ウクライナ政府が地上ドローン「Ironclad(アイアンクラッド)」を、前線での戦闘ミッションでテストしていると明かしていた。この地上ドローンは機関銃を装備しており、偵察任務に加えて火力も提供する、とフェドロフは声明で述べた。
■人間兵士を置き換えるロシア「マーカー」
ロシアも地上ドローンを開発しているが、その狙いは、「最も危険かつ死者が多い急襲ミッションで、人間の兵士を置き換える」ことだと、シンクタンク「米海軍分析センター」のサミュエル・ベンデットは、1月末に本誌に語った。その1つが、人工知能(AI)が利用可能な戦闘用無人地上車両「Marker(マーカー)」だ。 「主な任務は、敵に接近して射撃を誘い、相手の位置を暴くこと。そして地上部隊あるいは航空部隊による攻撃につなげることだ」と、ベンデットは解説した。 (翻訳:ガリレオ)
エリー・クック