トランプ勝利に歓喜する「インドの村」、J.D.ヴァンスの妻のルーツ
米大統領選で共和党のドナルド・トランプが勝利したことで、南インドにある2つの小さな村の明暗が分かれた。次期副大統領への就任が決まったJ.D.ヴァンスの妻、ウシャ・ヴァンス(38)の祖先の地であるバドゥル村の住民は、トランプの勝利で喜びに沸いている。一方、カマラ・ハリスの祖先の村の住民は、彼女の敗北に落胆した。 南インドのアンドラ・プラデシュ州にあるバドゥル村の住民たちは、ヴァンスが「セカンドレディ」になることを祝って爆竹を鳴らしている。この村のヒンドゥー教の神官は、「彼女が自身のルーツを認識し、この村のために何か良いことをしてくれることを願っている」と現地メディアに語った。 アンドラ・プラデシュ州の首相も、喜びのコメントを発表し、「この土地にルーツを持つウシャ・バンスは、テルグ系の血を引くインド人としては初のセカンドレディになる」と述べている。 一方、カマラ・ハリスの母方の祖父が生まれたスラセンドラプラン村では、多くの住民がトランプの勝利に落胆しているが、それでも彼女の行動を誇りに思うと述べている。投票日の前日に、この村の寺院では、ハリスの勝利を祈願する特別な儀式が執り行われ、数人の米国人観光客も参加していた。 ■インドのエリート一族 J.D.ヴァンスの妻であるウシャ・ヴァンスの両親は、1970年代後半にインドから移住したテルグ語の話者だ。彼女の一家は学問に関わりの深い家系であり、祖父のラマサストリ・チルクリはインドで最高峰の大学であるインド工科大学マドラス校(IITマドラス)で物理学を教えていた。 彼女の父のチルクリ・ラーダクリシュナンは、IITマドラスで機械工学を学んだ後に米サンディエゴ州立大学の教授を務めていた。一方、母のラクシュミ・チルクリは、海洋分子生物学者で、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の学長を務めている。 また、ウシャ・ヴァンスの大叔母にあたるシャンサンマ・チルクリは、今もアンドラ・プラデシュ州に居住しており、96歳のインド国内で最も高齢の現役教授だと現地メディアが報じている。ヴァンス自身は、米イェール法科大学院の卒業生だ。 一方、カマラ・ハリスの母方の祖父であるP・V・ゴパランは、1911年にトゥラセンデラプラムで生まれた。彼は英国統治下のインドで公務員となり、独立後はインド政府の官僚となった。ハリスは2019年の回想録で、祖父がインドの独立運動に参加したと述べていた。 トゥラセンデラプラム村の住民たちは、ハリスが大統領選への出馬を表明した際に、歓喜に湧いていたが、彼女が副大統領になって以来、村を訪れたり公に言及したりしていないことに失望している人もいた。村のある商店主はロイターに対し、2021年にハリスが副大統領に就任した時には、彼女の写真が掲載されたカレンダーが村の家々の外に掛けられていたが、「今ではそれほど目立たなくなった。しかし、再び目立つようになるだろう」と語っていた。
Siladitya Ray