クールでおしゃれ!「折り紙」デザインのオールステンレス包丁を生み出した新潟・燕三条の技術とは?【匠の逸品#06】
人気ブランド発のかっこいいオールステンレス包丁
新潟県の燕三条地域は、名だたる金属加工メーカーが集まるエリアです。 世界でも最高水準の技術をもつ「匠」のメーカーが並び、ここで作れない金属製品はないといわれています。 【画像】唯一無二のデザイン! 使い勝手も良い「単一ステンレス」の包丁とは?(9枚) そんな燕三条から、従来の包丁にはない、挑戦的なデザインのオールステンレス包丁として生まれたのが藤次郎ブランドの「ORIGAMI」シリーズです。
オールステンレスらしく刃とハンドルの繋ぎ目をなくしたにとどまらず、全てを1枚のステンレス板から折り上げたフォルムが特徴です。この唯一無二のデザインが注目されています。 藤次郎株式会社は、日本でも数少ない金属板の抜きから研磨、刃付けまで手がける一貫製造の包丁メーカーです。人が手で触れる包丁だからこそ、時代に合わせ先端機械技術を取り入れながらも、すべての工程において職人の腕と勘を尊重しています。 こうした工業技術と伝統技は「ORIGAMI」シリーズでもいかんなく発揮され、硬いステンレス刃物鋼を折り曲げることに成功しました。 オールステンレス包丁自体はよくみかけますが、「ORIGAMI」は第一印象が違います。金属板を折って作られたことが一目でわかるのです。 板を三角錐に折ってハンドル部分が形成され、その折り目は精緻です。ハンドル以外の部分は真っ平な刃となりますが、ハンドルの軸に位置するように出発点で谷折りされています。 こうしたデザインは、ペティナイフ、三徳包丁、シェフナイフのすべての展開で共通し、いずれも家庭向けの包丁として製造されています。 そもそも包丁というものは、サビとの戦いがつきものです。そのため、刃とは別にサビにくい素材でハンドルを作り溶接でつなげて製造することが一般的です。 しかし、実は、溶接することでその部分の金属組織が変化し、サビつきや包丁の能力低下を招いてしまいます。こうした問題は技術進化や溶接方法では解決できなかったといいます。 そこで、藤次郎がたどり着いたのが、溶接をせずに1枚のステンレス板で包丁を作るという発想でした。その際に、伝統文化の「折り紙」からインスピレーションを受けたといいます。 そうした背景から誕生した「ORIGAMI」について、藤次郎の担当者は次のように語ります。 「混じり気のない「純潔」「純粋」「無垢」という絶対的な美しさ、透明感を一番意識した深いミニマルなデザイン。日本の心に刻まれる繊細さを持った佇まいや、素朴な力強さをシンプルなデザインで表現しました」 こうした従来の包丁らしからぬ凛とした佇まいを支持するのは高感度な人が多く、とくに若い世代が「ORIGAMI」を購入しているようです。