<変わるセンバツ>/2 感染対策、宿舎も全力
玄関に非接触型の温度検知システムが置かれ、密になりやすいフロント付近には換気のタイミングがわかるように二酸化炭素濃度の測定機器が設置された。2017年夏から広島の高校球児を受け入れている大阪府池田市のビジネスホテル「マスミ荘」。西山勝次社長(67)は「球児たちの笑顔を見るのがうれしい。新型コロナウイルスへの不安もあるだろうが、できる限りのことをしていきたい」と話す。センバツ期間中は出場する広島新庄の貸し切りとなる。 中止となった昨年の第92回大会出場校が参加した2020年甲子園交流試合。各校とも1試合のみの実施だったため、近隣校は日帰り、宿泊の場合も最大2泊が原則と大幅に滞在日数が短縮された。 だが、今大会は従来通りトーナメントで日本一を争う。PCR検査を実施し、大会第3日(21日)までに登場する計18校は16日まで、大会第4日(22日)以降に登場する14校は19日までに宿舎入りが求められる。通常より宿泊期間が短くなる場合もあるが、最長2週間程度の宿泊が必要となるチームも出てくるのが現状だ。 マスミ荘でも感染症対策を講じており、バイキング併用だった食事は個別配膳に。飛沫(ひまつ)防止のためアクリル板を設置し、おかわりの際はナイロン製手袋を装着したスタッフがおわんを運ぶようにする。部屋によっては空気清浄機を導入し、一部の洗面台も非接触型の蛇口に変更する予定だ。西山社長は「万全の状態で試合に臨んでほしい」と語る。今大会は市和歌山を受け入れるバンデホテル天保山(大阪市港区)では、一般客と球児らの宿泊階を完全に分けることで、接触機会を減らすようにするという。 大会本部では、大会中の急な体調不良で医療機関の診察を受けることが難しい場合も想定し、チーム関係者が電話で医師のアドバイスを受けることができる相談窓口を設置。運営に関して、日本高校野球連盟の小倉好正事務局長は「部員の安全、安心を最優先にするのが原則」と語る。関係各所がバックアップ体制を整えることで、2年ぶりのセンバツを迎えようとしている。【藤田健志、写真も】=つづく