全米のスポーツは全て中止。トランプ大統領は非常事態宣言を出した（写真：ロイター/アフロ）

　一夜にして全てが止まった。 　NBA（米プロバスケットボール）で11日夜、ユタ・ジャズの選手が新型コロナウイルスの感染が判明。間もなく試合が始まるという時間に、検査で陽性反応を示したことが、審判らに伝えられ、ゲームは中止になった。その数時間後にはNBAはシーズン中断を発表。選手が感染した場合には、どのように対応するかをあらかじめ決めていたのだろう。あっという間に大きな決定がなされた。 　翌朝、NHL（北米プロアイスホッケー）、MLS（米メジャーリーグサッカー）がシーズン中断を発表。午後になるとメジャーリーグがオープン戦の中止と開幕の延期を決定。男子ゴルフはフロリダ州で開幕したプレーヤーズ選手権が打ち切られ、4月半ばまでの大会を中止に。女子ゴルフでも3大会が延期。テニスもマイアミ・オープンを中止。 　NBA、NHL、MLB、MLSは数日前まで、メディアのクラブハウス入室を制限しながらも、なんとか通常通り試合を開催するという方針だったが、せせこましいと思える経営努力も一瞬でふっ飛んだ。 　日本の高校野球と同様に人気のある大学生のバスケットボールトーナメント大会は当初は無観客で開催予定だったが中止になった。プロスポーツ、大学スポーツが中止になり、学校の運動部の活動ももちろん中断。多くのスポーツを提供してきた米国から、スポーツが消えた。 　この中断で直接的に最もダメージを受けるのは、アリーナや球場で働く人々である。期間労働者として時間給で働く人々は、試合がなくなることは即、仕事を失うことを意味する。 　NBAキャバリアーズのケビン・ラブは本拠地のアリーナで働く労働者に10万ドル（約1080万円）を寄付。これに続いてピストンズのブレーク・グリフィン、バックスのヤニス・アデトクンボ、ペリカンズのザイオン・ウィリアムソンもアリーナで働く人を助ける計画を明らかにした。マーベリックスのオーナー、マーク・キューバンら、チームの経営者も時間給で働いているスタッフの救済プランを練っているとしている。NHLでも同様の動きが出てきている。