大阪桐蔭のライバルは…11本塁打でも「まだ及ばない」 センバツ
第94回選抜高校野球大会は最終日の31日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で決勝があり、大阪桐蔭が近江(滋賀)を18―1で破り、4回目の優勝を果たした。大阪桐蔭は田井志門(3年)らチームで4本塁打を放ち、チーム大会通算11本塁打で大会記録を大幅に更新した。 【写真一覧】毎日新聞記者が選ぶベストナイン ◇ 大阪桐蔭は一瞬たりとも隙(すき)を見せず、これでもかと攻め続けた。それも本塁打で、だ。 三回、リードを4点に広げた直後。近江の2番手左腕の星野に2人が打ち取られ、6番・田井が左打席に入った。相手に流れを渡さないためにも「代わりばなを攻める」のがチームの方針。事前の研究から直球に狙い球を絞り、フルカウントから高めの直球をはじき返してバックスクリーンへ運んだ。 今大会チーム7人目の本塁打で大会通算9本目。清原和博(元西武など)が3本、桑田真澄(巨人コーチ)が2本放つなど通算8本塁打をマークした1984年のPL学園(大阪)の記録を塗り替えた。その後も満塁本塁打など2本塁打を加え、4試合ながら前人未到の11本塁打を達成した。 選手たちは近江との決勝を歓迎していた。前チームが昨夏の甲子園2回戦で敗れたからだ。前チームでレギュラーは松尾だけで、田井もスタンドで応援していた。 昨秋の明治神宮大会で優勝した後も、選手たちは「自分たちは力がない」と繰り返した。その真意はライバル校ではなく、1学年上の先輩たちを比較対象にしていたからだ。 大阪桐蔭の寮の近くには雨天練習場がある。前主将の池田陵真(オリックス)は消灯前に5分しかできない時でも毎日、素振りをしていた。力のある先輩でも時間を惜しみ、努力する姿を見ているからこそ、今の選手たちも意識を高く持って自主練習に励んできた。 池田と一緒に自主練習した際に、田井は「(池田から)ロング(長打)は打てないからコンパクトに広角に打つよう言われ、参考にした」。決勝の大舞台で体現した。 優勝候補だった昨年のセンバツは初戦で敗れ、昨夏も2回戦止まり。主将の星子は言う。「まだまだ技術的には先輩に及ばないが、いい報告ができるかなと思う」。ライバル視する先輩を追い続けた先に、圧倒的な強さを誇るチームが誕生した。【安田光高】