3大駅伝11戦8勝の駒大・鈴木芽吹は実業団名門へ 後輩にはエール「強い駒沢を引き継いで」
学生駅伝界をわかせた4年生が今春、卒業した。今年の第100回箱根駅伝(1月2、3日)で総合2位だった駒大は、主将を務めた鈴木芽吹らの世代が学生3大駅伝で11戦(1年時の出雲駅伝はコロナ禍で中止)8勝の好成績を残した。「史上最強への挑戦」を掲げて歓喜と悔しさを積み重ねて取り組んだ日々。23日の卒部式では「努力」の大切さを後輩たちに伝え、後を託した。全てを胸に刻み「箱根からの道」に進む。 令和の常勝軍団に成長した駒大を支えた、強い4年生が卒業した。23日の卒業式後に東京・玉川キャンパス内で行われた卒部式。鈴木は4年生が5人挑んだ最後の箱根で2位と惜敗した、素直な思いを語った。 「最後に負けてしまった。本当に悔しい気持ちを持って卒業になります」 不安から始まった4年間だった。新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言も発令され「最初は学校にも全く行っていない」という日々が続いた。同年の出雲駅伝は中止。他の大会は開催されたが、21、22年の箱根路などは沿道の声援も制限されていた。 その中で“鈴木世代”が掲げていた目標は「4年生になる箱根100回大会で優勝」「大学駅伝3冠」。4年間の学生3大駅伝は11戦8勝。鈴木と安原太陽は、89年に出雲駅伝(第1回は出雲くにびき大学招待クロスカントリーリレー)が始まって以降、個人でも最多タイなる6度のVに名を連ねた。中でも鈴木は初めて3大駅伝すべてを複数回制した選手(出雲2、全日本2、箱根2)となった。 「自分たちは3冠に値するくらい一生懸命努力した。それを後輩のみんなに感じてほしい。今後に生かしてほしい」 藤田敦史監督(47)も「志が高かった。ここまで結びつきが強い代はなかなかない」という鈴木世代。卒部式には今春入学する新入部員も出席し、鈴木は後輩たちに厳しさも伝えた。 「外から見たら当たり前に勝っているチームに見えるかもしれないけど、裏では努力をしてこれだけの結果を出しています。強い駒沢を引き継いでほしい」 4月以降はトヨタ自動車に入社するが拠点は変えず、今後も大八木弘明総監督(65)の下で、昨年の世界選手権1万メートル代表の田沢廉(23)=トヨタ自動車=らと練習に励む。 「切磋琢磨(せっさたくま)して、僕の目指すところを上げていきたい」 4年間で得たものを「箱根からの道」で生かしていく。 (手島 莉子) ◆3大駅伝の個人最多V 89年に出雲駅伝が始まって以降、6度優勝を経験した選手が最多で16人。うち、駒大は箱根4連覇を達成した田中宏樹、塩川雄也ら8人を占める。出雲がなかった時代には、日体大の石倉義隆(70~73年)に7度優勝を経験している。
報知新聞社