和歌山毒物カレー事件を検証した「マミー」公開、大島新「この映画はスクープだ」
和歌山毒物カレー事件を追ったドキュメンタリー映画「マミー」が8月3日に公開されることがわかった。 【画像】ドキュメンタリー映画「マミー」場面写真 1998年7月に発生した同事件では猛毒のヒ素を混入させたカレーが夏祭りで提供され、小学生を含む4人が死亡。近くに住む林眞須美が容疑者となったが、彼女は容疑を否認し、自宅に押し寄せるマスコミにホースで水をまく姿も報道された。2009年に最高裁で死刑が確定したが、今も獄中から無実を訴え続けている。 本作では目撃証言や科学鑑定の反証を試み、保険金詐欺事件との関係を読み解いていく。夫である林健治がその実態を語り、息子の林浩次(仮名)がなぜ母の無実を信じるに至ったか、胸中を述べる場面も。これまで数々のテレビドキュメンタリーを制作した二村真弘が映画初監督を務め、捜査や裁判、報道に関わった者たちを訪ね歩く中で事件にのみ込まれていく。 「なぜ君は総理大臣になれないのか」「国葬の日」で知られるドキュメンタリー監督・大島新は本作について「この映画はスクープだ。そして誤解を恐れず言えば、痛切なるエンタメ作品だ。『執行されてしまったら取り返しのつかないことになる』と思い、調べ始めた二村真弘監督の取材の深さはもちろん、撮影・構成・編集などの表現力も一級品。同業者として脱帽、と同時に嫉妬した」とつづっている。二村とプロデューサー・石川朋子のコメントも以下に掲載した。 東風が配給を担当する「マミー」は東京のシアター・イメージフォーラム、大阪・第七藝術劇場ほかで公開される。 ■ 二村真弘 コメント 私は何かとんでもない思い違いをしているのではないか。取材中、何度も自問した。 林眞須美は手練れの詐欺師で、ふてぶてしい毒婦で、夫をも殺そうとした冷酷な人間であったはずなのに、取材によって得た事実はそれとは全く違う姿を映し出していた。これで死刑判決が下されたのか…。空恐ろしさを感じた。 ■ 石川朋子 コメント この企画は、いくつかのテレビ局に持ち込んだが「死刑判決が確定している事件を扱うのは難しい」と言われ実らなかった。それなら映画にしようと監督が撮影に入ると、取材先で度々新聞やテレビの記者に出くわした。しかし、彼らは冤罪の可能性について取材していても、大々的に報じることはなかった。死刑判決にこれだけ疑義があることがわかっていて、なぜ。監督の疑問と憤りが、今回の映画の原動力になっている。 (c)2024digTV