【アメリカから見たTPP(9)最終回】TPPは平和をもたらすか?
「また、TPPがマレーシアや日本に繁栄をもたらすとき、中国もその市場から利益を享受することになります。中国は、隣国の繁栄によって自国の経済的利益を得るということを知るでしょう。逆に、もし貿易が近隣窮乏化政策のような隣国同士の競争関係に陥り、中国経済が悪化したら、全体として負の効果を生むでしょう。私の希望は、TPPが全体の成長のために役立つことであり、そのような恐怖をもたらす競争関係にならないことです」 TPP参加国と中国の力学は複雑だ。短期間の貿易促進を、長い目で見た安定強化に転換するには、政府間の細心の計画と機敏な外交が必要だ。 (おわり) ◇クリスティーナ・デイビス教授 米プリンストン大政治学部、ウッドロー・ウィルソン国際公共政策大学院兼任教授。国際関係論と比較政治学の研究を行い、貿易政策が専門。日本、東アジア、EU、国際機関の政策や外交について研究している。「 Food Fights Over Free Trade: How International Institutions Promote Agricultural Trade Liberalization」「Why Adjudicate? Enforcing Trade Rules in the WTO」(大平正芳記念賞)などの著書がある。 (聞き手・文:Matthew Kolasa、翻訳・構成:中野宏一/THE EAST TIMES)