今年の新入社員は「出世欲あるが現実的」 三菱UFJリサーチ調査
今年の新入社員は出世欲はあるが現実的――。三菱UFJリサーチ&コンサルティングは2日、新入社員を対象にした働き方に関する意識調査の結果を発表した。
「出世したい」が昨年から増加傾向
それによると、「出世したい」と「出世しなくても好きな仕事をしたい」のどちらかをを選ぶ設問で「出世したい」と答えた新入社員は46.2%。前年の49.8%より下がったものの、30%前後で推移した過去10年よりも高い水準を維持した。ただ、どれ位まで出世したいかという問いに対しては「役職にはこだわらない」が半数でもっとも多かった。この回答には男女差があり、女子が約76%を占めたのに対し、男子は約34%だった。 一方、具体的な役職については、「社長」という回答が4%減少し、「部長」が微増、「課長」は横ばいだった。出世欲はあくまで限定的なもののようだ。 出世欲が上昇傾向であることについて、同社研究員の尾畠未輝氏は「景気回復の影響が大きい」と分析する。「昨年の新入社員は、アベノミクスが始まり景気が好転し始めたころに入社した。それまでと変わり『出世できるのでは』という雰囲気になった」。 ただ、やはり現実的にものごとを見ているのが特長で、社長まで出世したいとの回答は減少している。「役員までは行きたいけど、年収が増える環境ではないとも認識している。労働の対価が得られないなら、ちゃんとした生活を送りたい、と考えているようだ」(尾畠氏)。
景気好転でも就職活動は「大変だった」
景気回復を受けて新卒内定率は上昇したが、就職活動について「とても大変だった(23.8%)」「大変だった(45.6%)」が合わせて7割弱を占め、前年度よりも増加した。これは、2年前から始まった経団連の倫理憲章で就職活動が4月以降になり、採用活動が短縮化されていることが要因。これにより「就職活動が激化して大きな負担になった」(尾畠氏)という。 戦国武将から理想の上司を選ぶなら、という設問に対しては、「武田信玄」が34%と2年連続で首位に。以下、「豊臣秀吉」、「徳川家康」「織田信長」と続く。信玄の「部下の力を引き出し、チーム力を高めていく」能力を求めるやや受け身の姿勢が見受けられる。 調査は、同社が東京、名古屋、大阪の企業の新入社員向けに開いたセミナー受講者1324人が回答した。