日本一を支えたロッド開発技術で生み出される「カルチャー&ライフスタイルロッド」【VERSART G.O.A.T誕生前夜 Vol.1】
ピュアフィッシングジャパンの転換期
ところが同年末、ピュア・フィッシング・ジャパン(株)は日本のトーナメントシーンから一歩退く形となる。 トシ「『AbuGarciaがバスをやめる?』『日本から撤退する?』と様々な噂が飛び交い、不安を抱いたファンの皆様も多かったと思います。そのような激動の時代に生まれたからか、VERSARTは、トーナメントロッドなのかファンフィッシングロッドなのか印象がぼやけてしまったのかもしれません」 トシさんによれば、ここ数年で日本のバス釣りはフィッシングスタイルの二極化がより顕著になってきているという。 トシ「『バスフィッシングが好き』『バスフィッシングはカッコいい』 。私も含め多くのアングラー達のこういった思いは共通していると思います。ですがその中にも、サイズや数、あるいは両方を『釣果』として徹底的に追及するトーナメント寄りのアングラーがいる」 トシ「その一方で、バスフィッシングをカルチャーやライフスタイルと捉え、釣れなくてもいいからリフレッシュの為に釣りに行くという人もいます。そのひとたちはどう釣るかではなく、どのルアー、タックルで釣りたいかを優先する。言わばファンフィッシング寄りのアングラーになると思うのです」
G.O.A.T誕生のとき
2022年の冬。 ピュアフィッシングジャパンでは新たなバスロッドラインの構想が立ち上がっていたという。 トシ「スタート直後こそ、コンセプトや方向性が定まらず難航していましたが、一部社員やプロチームのメンバーから声が上がっていたのが、先述のファンフィッシング寄りのアングラー達が喜んでくれるような、バスフィッシングのカルチャー、ライフスタイルのカッコよさに振り切ったロッドだったんです」 アブガルシアには、国内最高峰トーナメントの年間優勝者をも支えたロッド制作技術がある。 トシ「つまり“中身”がいい事は当たり前。そこにファッションやカルチャーの一部になり得るカッコよさをプラスしていく。それでいて、主張しすぎず、武骨で、まるで工具のように機能に裏付けられた道具としてのカッコよさをテーマとしました」 そうして誕生したのが、横浜の釣りフェスティバルでお披露目された『VERSART G.O.A.T(ベルサート ゴート)だったのだ。 その反響はすさまじく、横浜に続いて開催されたフィッシングショーOSAKAも合わせて、数多くの来場者がゴートの機能・デザインに魅了された。 その様子を目にしたトシさんは、共にゴートを開発したプロアングラーの三浦一真さんやTatsuyaさんと共に目頭を熱くしたという。 トシ「開発者として素晴らしい時間を過ごすことができました。フィッシングショーのブースにお越しいただいた皆様、ショーを開催していただいた関係各位にも感謝申し上げます。今後も、AbuGarciaだからできるスタイルを表現していきたいと思います。次回はもう少し、製品の詳しい中身についても触れていきたいと思います」