シャインマスカット開花異常 補正予算で緊急支援 農水省
農業試験場や大学が調査
農水省は、ブドウ「シャインマスカット」の開花異常(未開花症)に対応するため、農家向けのマニュアル作成に乗り出す。施肥量や温度管理など、どのような栽培方法だと開花異常を予防できるか、園地の発生状況に応じた対応策を示す方向だ。マニュアルの作成に向けて複数年の全国調査を行い、実態の解明を急ぐ。 「シャインマスカット」の開花異常は、開花の時期を迎えても花が正常に咲かず、実が大きくならなかったり、形がいびつになったりして、商品価値を損なう。ただ、同省によると、発生の頻度は園地で異なり、原因も分かっていないという。 同省は、発生の実態解明と対策を急ぐため、2023年度補正予算で、未開花症の緊急対策に1億5000万円を計上した。農業試験場や大学などによる調査を支援する。 全国を対象に、開花異常の発生有無を調べる。このうち、開花異常が発生した園地では、土壌の栄養状態や気象の変化、栽培方法など詳細を分析し、その園地で開花異常が起こった要因を探る。 複数年の結果を踏まえて、発生園地の傾向を場合分けし、実を付ける数はどのくらいが適切か、施肥量はどうしたら良いかといったマニュアルを作成する方向だ。作成時期は未定だが、同省の担当者は「なるべく早く示したい」としている。 開花異常を巡る問題は、本紙「農家の特報班」の調査で、主産23道府県のうち15県で発生していたことが判明した。報道を受け、同省が4月に実施した調査では、作付けのある46都道府県のうち30県で、過去に発生していた。このうち19県は、品質や収量の低下も報告されている。
日本農業新聞