ネット証券に親が2000万円も預けていることが分かりました。銀行が破綻した場合、1000万円までの保証ですよね? 証券会社はどうなりますか?
「預金保険制度」をご存じの方は多いかもしれません。預金保険制度は、銀行(金融機関)が破綻した場合、金融機関ごとに、預金者1人当たり元本1000万円までと破綻日までの利息などが保護される制度です。 証券口座をお持ちの方にも同様の保護の仕組みがありますが、ご存じの方は多くないでしょう。そこで本記事では、証券口座における保護の仕組みについて解説します。
投資者保護基金により投資者は保護されている
預金保険制度に近い仕組みとして、「投資者保護基金」があります。投資者保護基金は、金融商品取引法(第4章の2)に規定される、投資者(一般投資家)の保護を目的とする機関(法人)です。 具体的には、証券会社が何らかの事情により破綻した場合であって、分別管理の義務に違反し、投資者の資産の返還が困難になった場合に、投資者保護基金が1人当たり1000万円を上限に補償を行うというものです。 証券会社(金融商品取引業者)は金融商品取引法(第79条の27)により、投資者保護基金への加入が義務付けられています。ご自身が口座を開設している証券会社も、投資者保護基金に加入していると考えて差し支えありません。
投資者保護基金により保護される投資者と資産
投資者保護基金により保護されるのは、投資者保護基金の会員である証券会社に口座を開設している一般の投資者に限られます。金融機関などの適格機関投資家や国・地方公共団体など「プロの投資家」は、補償の対象外です。破綻した証券会社の役員や親法人なども、補償の対象からは外れます。 保護される資産は、証券会社に預けられた金銭と有価証券のうち、国内外で発行された株式、債券、投資信託やそれらの取引に関する金銭などです。 保護されない資産もありますので注意が必要です。保護されない資産としては、FX取引(外国為替証拠金取引)、有価証券店頭デリバティブ取引(有価証券先物、オプション、CFD取引)に関する資産などがあります。
証券会社には分別管理の義務がある
証券会社は、投資者の資産を保護するため、金融商品取引法(第43条の2)により「分別管理」が義務付けられています。 分別管理とは、金融商品取引業者が、自己の財産と一般投資者の資産(金銭や株式、債券などの有価証券)を明確に分別して管理することをいいます。分別管理をすることによって、証券会社が破綻した場合であっても、一般投資者の資産を保護することができます。 先述の「投資者保護基金」は投資者保護の保険的役割であり、分別管理を保管するためのものといえます。投資者保護の原則は、証券会社が分別管理を行うことにあります。分別管理を適切に行っていれば、一般投資者の資産に対し、直接的な被害は及ばないからです。 しかし、証券会社が分別管理を適切に行っていなければ、一般投資者の資産に被害が及ぶ可能性があります。これをカバーするのが投資者保護基金ということになります。