総人口が減少傾向の中国、その特徴と将来の行方
【東方新報】中国の国家統計局が17日に発表したデータによると、昨年の新生児の数は前年比約54万人減の902万人、死亡者数は1110万人で、総人口は208万人減少し約14億1000万人となった。この数字は人口学者たちの予想と一致した。 一方、昨年の生産年齢人口(16歳から59歳)の総人口に占める割合は61.3パーセント、前年比でわずかな減少にとどまった。60歳以上の老齢人口の割合は1.3ポイント上昇し、21.1パーセントとなった。 出産適齢期の女性の減少、出産意欲の低下、晩婚化、新型コロナ感染症の影響も相まって、中国の出生率は徐々に低下し、2022年の歴史的な減少につながった。 「中国の総人口は全体的、長期的な傾向として着実に減少していくと予想します。また世界的にも少子化が進んでいます。社会の近代化、その発展過程で必然的に高齢化社会と少子化がもたらされることに留意する必要があります」、中国人口・発展研究センターの賀丹(He Dan)センター長はこう語った。 そして「人口が減少しているとはいえ、中国の総人口は依然として膨大です。人口動態を評価するためには、人口総数以外に、人口の内容、構造、年齢分布がさらに重要で、これらを勘案した総合的な評価が必要です」とも付け加えた。 河北大学(Hebei University)経済学院院長で、著名な人口学者の王金営(Wang Jinying)教授は、中国が過去20年間で生産年齢人口の上昇と全人口の教育水準が著しく向上したことに着目している。 特に修士号を持つ人材の数は、00年から20年にかけて10倍に急増したという。また「平均寿命もこの間に71.4歳から77.9歳に伸びた。 王教授は「教育と健康の大幅な改善で、過去20年間の中国の人的資本は大幅に増加し、労働力の安定供給と質の高い経済発展の原動力となってきた」と見ている。 しかし、複数の専門家は「出産を促す具体的な措置がないため、長期的には人口がかなり減少するだろう」との警告を発している。 中央政府指導部は21年7月に、全ての夫婦が3人の子どもを持つことを認め、少子化支援を強化する決定を発表した。また出産を奨励する地方ごとのさまざまな政策の推進を促している。 「中国人口・発展研究センター」の和紅(He Hong)教授は、政府のこれらの政策を「産前産後ケアの改善や第2子、第3子として生まれる赤ちゃんの数の増加など、出産の奨励に良い結果をもたらしている」と評価しつつ、「しかしまだ国民の要求を十分には満たしていない」と指摘する。 和氏は「現在の中国の出生水準(出産可能年齢の女性1人当たりの出生児数)は1人前後。主な原因は住宅や保育サービスの不足、高い教育費、不妊症などで、出産意向のある人口の40パーセント近くが実現されていない」と現状を説明し、「若い世代の結婚や出産に対する意識は育成することが可能。結婚や出産に対する前向きな姿勢を育み、サポートすることが重要だ」と強調する。 和氏はまた「総合的で健全な少子化対策として、住居費の高騰、教育への不安、医療費の負担など現実的な問題の解決に取り組むべきだ。出産保険の適用範囲を拡大し、子育て支援や不妊治療の制度を地方レベルから国家レベルに引き上げ、それらを確実に実施する法制度を整備することが不可欠だ」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。