バブル時代、男と女が“熱狂”した「ラブホテル」はこうして作られた…懐かしの「回転ベット」「電光パネル」「交換ノート」を大公開!
<ラブホテルとは、非日常空間。異次元の世界を演出した、エンターテイメントなカップルのための小劇場である> 【写真】回転ベット、メリーゴーランド…絢爛豪華な昭和の「ラブホテル」 いまから5年前、私は恋人と一緒に面白いラブホテルを探して巡るのにハマっていた。いつものようにネット上で面白いラブホテルを探していると、この一文が載っているラブホテルデザイナーのHP(https://www.ami-shin.com)を見つけ、衝撃をうけた。 そのラブホテルデザイナーの名前は「亜美伊新」。この一文は、私がラブホテルから感じ取っているモノをそのまま表現していた。 作り手の亜美伊新氏の意図が、たんなる利用客の私にそっくり伝わり、さらにそれが楽しみでラブホテル巡りまでするほど突き動かされていたからだ。 亜美伊新という人物に猛烈に興味が湧き、著書の『現代を読み解く ラブホテル人間学』や『「ラブホ」の経営学』を呼んだ後に、メールを送って会いに行った。 ---------- 【本人提供】バブル時代のラブホ「秘蔵写真」はこちら ----------
「回転ベットの生みの親」
「私はね、もし次にラブホテルをつくるとしても、今のホテルを見てやろうとするんじゃなしに、頭の中変えて、全く違うことをやる」 事務所へ訪れると、79歳とは思えないほどパワフルでニコニコしているおじいちゃんがいた。今はラブホテルのデザインを手掛けることは少なくなったらしいが、エネルギー事業という新しい分野で挑戦を続けているらしい。 亜美伊氏は1960年代後半から1995年までの期間で型破りでユニークなラブホテルのデザインを1600棟という信じられない数手掛けている。 「当時は、和室で控えの間に炬燵、襖を開けると真っ赤な布団が敷かれた寝室が主流であった。それが又、淫美でもあったが、それを我々が、連れ込み宿からラブホテルへと変革した。部屋作りも全室、各々特徴を持たせるようにしました」 「ベッドはいろんなものから発想を得た。銀河鉄道999からヒントを得た白い汽車、宇宙戦艦ヤマトからUFO、漫画の世界から出てきたカボチャ馬車、遊園地からはメリーゴーランドやコーヒーカップ、日本昔話からは浦島太郎の竜宮城にある亀と桃太郎の二つに割れた薄ピンクの桃、車はベンツやロールスロイスにクラシックカー、他にもお殿様用の駕籠、牛車、ポップコーン、カジノ、ピアノね。 あとは、時事ネタや風刺ネタが好きだった。私はね、とらきち(タイガースの熱心なファン)だから85年に優勝したときには阪神タイガーズの部屋作ったよ。政治家の汚職があったときには国会議事堂を背景に金の部屋を作った」 現在に象徴されるラブホテルのなかには、亜美伊氏が当時ゼロから作り上げたものも多い。 「回転ベットの生みの親」と言われ、80年代のバブル全盛期には、ブランコや鏡張りなど、昭和のラブホテルに象徴されるようなゴージャスな部屋を先駆けて手がけ、それを真似た部屋も多く現れた。 後の昭和60年に普通のホテルとラブホテルを区別するための「風営法3号営業」が制定されたが、これら回転バッドや鏡ばりなどもラブホテルを特徴づけるものとして明記され、この法律は亜美伊氏のために作られたともと言われている。 「ストリップショーの床回転にベッドを乗せてみたら、ウケた。部屋を広く見せようと壁や天井を鏡張りにしたら、お客さんが『最中の姿が鏡に写るのが淫美でイヤらしくて、ホンマにええで』と言って喜んでくれた」 こう当時を振り返るが、じつは亜美伊氏は、すべてのカップルが幸せなセックスに至るための優しい気配りともいえる「部屋以外の仕組み」への貢献度も高い。