美術作品「筆談」で感想や気づき語り合おう…自由に書き込み、笑い声以外禁止「次々と新発見」
現在は徳島県立近代美術館で、障害や年齢、言語などの違いに関係なく、あらゆる人が美術館を楽しめる「ユニバーサルミュージアム事業」に取り組む。その活動の一環として筆談鑑賞会を全国各地で開催している。
「一つの作品にじっくり向き合うことができた」「年代の垣根を越えて対話ができた」――。最後のフリートークでは、参加者から様々な感想が寄せられた。
長崎市の小学4年の児童(9)は「(他の参加者とは)初対面だったけれど、友達と話しているように、自由にいきいきと書き込むことができた」と振り返った。小笠原さんは「参加者から予想外のコメントをいただき、次々と新しい発見が得られることが、筆談鑑賞会を続ける原動力になっている」と笑顔を見せた。
スペイン美術の企画展の取材中、「筆談」「おしゃべり」という一見相反するタイトルのチラシに興味を持ち、記者も参加した。
記者も体験、反応うれしい
初対面の人と芸術を鑑賞するのも、筆談のみで対話をするのも初めての経験。「何でも書きましょう。間違いはないです」。小笠原さんの説明のおかげで、肩の力が少し抜けた。
「髪形がおしゃれ」などの気軽な感想から、「当時のスペインの内情は?」といった歴史の話まで、1枚の紙上に多様な対話が縦横無尽に展開された。自分が書いた疑問に対して反応があると、うれしくなった。
記者は入社3か月。当初、「美術館は難しそう」と思っていたが、参加者と共感し、新たな気付きを与え合う体験を通して、美術館を身近に感じることができた。(西山怜花)