世界に通じるエンタメビジネス! 詩羽と知る…タテ読みマンガの世界【SENSORS】
そのほか「広告を見れば、次の話を無料で読める」といったアプローチや、顧客データの細かな分析も可能なため、「どんな人に作品が読まれているか?」「どのジャンル、どんなシーンや展開の需要があるか?」など、読者のニーズを迅速に読み取ったうえでコンテンツを提供できる。デジタルを活かしたさまざまなビジネスの展開が可能なのだ。
■世界を視野に制作 韓国のタテ読みマンガビジネス
「タテ読みマンガ」の人気が世界的に高まる中、韓国はタテ読みマンガで世界をリードしている。韓国発のタテ読みマンガの実写化は、多くの国で大ヒット。例えば、韓国ドラマ「梨泰院クラス」もその一例だ。2023年11月にも韓国で人気のタテ読みマンガ「プレイリスト」がHuluにてオリジナルドラマ化され、日韓同時配信で話題を集めている。 韓流アイドルが、デビュー時から世界展開を前提にしたエンタメを確立しているように、「タテ読みマンガ」もまた、世界を視野に入れた制作で人気を博しているのだ。
日本と韓国にスタジオを持ち、タテ読みマンガの制作・配信を手掛けるアニメイトグループのロケットスタッフ株式会社代表の高 榮郁(こう・よんう)さん。韓国のタテ読みマンガの強みについて次のように語る。 「日本では、マンガは出版社、ドラマなどは制作会社が作る場合が多いのですが、韓国ではマンガを制作した会社が、関連会社をたくさん持っていて、映画制作・ドラマ・音楽とすべてまとめて手掛ける場合が多いと言えます」
タテ読みマンガの制作現場の特徴について「ロケットスタッフ株式会社」の鳴瀬麻美さんに、さらに詳しく聞いた。 「タテ読みマンガの制作現場は、ネーム(絵コンテ)、背景、線画、カラー担当などの分業制です」 当然、紙は使わず、すべてデジタル上で制作。着色には、AIを活用した自動彩色ツールが活用されている。数多くの作品を生み出すために、色塗りなどは海外に送って作業してもらう会社もあるという。また「背景制作には、建築用の3Dソフトを使用し、効率的な運営を図っています」と鳴瀬さん。 ◇ ロケットスタッフ株式会社代表の高さんは、デジタルを駆使した効率化の理由について次のように説明する。 「タテ読みマンガはおおむね70コマ程度で構成され、1話を約2分ほどで読んでもらう目標で制作するケースが多いです。時間をかけて読むユーザーはそれほど多くないため、3D技術などを活用してサクッと制作できる方がいいと思っています」 これまでにもマンガで世界をリードしてきた日本が、そのIPでさらに世界へ打って出るチャンスも広がる「タテ読みマンガ」。今後の市場拡大に要注目だ。