〈笑点卒業〉木久扇が愛した昭和の怪人“横山やすし・立川談志” との宇宙人レベルの交流…タクシーでキレ散らかすやっさんと参院選で「笑ったやつは一票入れて」と談志との思い出
卒業白書2024#13《前編》
国民的バラエティ番組「笑点」の活躍などで知られる、林家木久扇師匠が本日3月31日の放送をもって番組を卒業する。新著『バカの遺言』(扶桑社新書)には、そんな木久扇師匠の“遺言”ともいうべき濃すぎる生涯が記されている。本インタビューでは、彼の生誕から駆け出しの頃に出会った、「2人の昭和の怪人」について話を聞いた。 【画像】横山やすしについて懐かしそうに語る木久扇師匠
小1の東京大空襲が原体験
――『バカの遺言』拝読いたしました。この本で語られる「バカ」は、一般的に使われる「バカ」とは全く違う、世の中を俯瞰で見て、自覚的に「バカ」でいるというか。生き方の名人芸だなと思いました。 林家木久扇(以下同) 生き方の名人かどうか知りませんけれども、僕も86歳、いろんな目に遭ってるっていうことがありますね。人様から見るとスルスルっと生きてるみたいですけど。 例えば、小学校1年のときに東京大空襲を体験している。小学校1年生っていうのは、すごい感受性の初々しいときでね。気持ちがとても柔らかいときにアメリカの飛行機がやって来て、今のウクライナのあの状態なんです。 毎日怖かった、夜になるのがね。毎晩、明け方まで空がいつも明るかった。B29が300機飛んできて、ウサギのフンみたいに爆弾を落としていきましたから、もうすごい明るさだったんですよね。3回目の東京大空襲でうちが焼けたんですけれども、そのときのすごさというのはもう……。 ――小学校1年生……。 友達もたくさん亡くなった。それが基本なんですよ。僕、がん2回やってるし、腸閉塞もやってる。本当に死にそうになったんですけれども。ただ、がんにかかったっていうのは僕ひとりの体のことでね。空襲は大勢の人間が同じ体験するわけで、それに比べたら、僕は自分で我慢しようって思った。 まあ、落語家ですから、病気に小言を言ってたんですよね。がんを叱ってたんです。起きるたびに「なんで僕の中に入ってくるんだ」「僕は17 人の世話を焼いていて、食べさせなくちゃいけないんだ」「出てってくれ」って。 お医者さんも「そういう前向きな人はね、治るんだ」って言ってました。それを馬鹿馬鹿しいとは思ってないんです。こんなことを人が見たら笑うでしょうなんて思わないで、真剣に病気を治そうとしていた。 ――本を拝読すると、病気にもお仕事にも遊びにも、常に真剣に取り組まれてらっしゃるのがよくわかりました。 自分の性格なのかな。「やってみよう」とか「どうなってるんだろう?」って気持ちがすごい強いんですよね。この間もBSで異星人はいるのかっていう特集をやってましたけど、私は信じてますからね。地球だけに人間っていうものがいるなんてことないだろうと。そういうことをね、馬鹿馬鹿しいと思わないで、すごく真面目に信じているんですよ。