高卒応募ゼロ 採用困った/青い森鉄道 青森県外志望者多く苦戦?/来春 初任給引き上げへ
青い森鉄道(本社青森市)が新規高校卒業者の採用に苦慮している。今年春(2024年4月入社)の採用で13人を募集したが、応募者はゼロ。待遇の良い県外の大手企業を志望する生徒が多いことが背景にある。来年春入社の採用に向け、給与に上乗せする「初任給調整手当」を引き上げたり、採用活動を強化したりするなど、あの手この手を打っている。 「通学で利用している高校生はわが社を身近に感じてくれていると思っていた。このままではいけないと考え、必死になって対応している」。5月30日の同社取締役会後の会見で、千葉耕悦社長は採用難の現状を報道陣に語った。 同社は今年4月入社の採用で、運転士候補・駅員・事務職を3人、車両整備と設備保守の技術職を各5人募集。ハローワークに求人票を出し、県内の工業系高校などを回ったが、応募が一人もなかった。 昨年4月入社の採用では2人の応募があったが、適性検査の結果、採用に至らなかった。このため新規高卒者の採用は2年連続でゼロ。大学卒業者らを合わせた全体の採用でも過去5年は必要数を確保できず、人手不足が続いている。 「県内の工業系高校には千~2千社以上の企業から求人が来ていて、生徒は選びたい放題」と同社人事担当者。全国的な人手不足の中、県外の大手企業は初任給を引き上げたり、社員寮を整備したりするなど採用活動を強化しており、待遇面で劣る県内企業に目を向ける生徒が少ないという。 同社は来年春入社の採用で、初任給調整手当を現状の倍の1万8千円に引き上げ、月給を16万300円に設定。受験者の負担を減らすため、教養試験を取りやめる。高校訪問も例年より1、2カ月早い4月から始め頻度を増やしている。 東直樹専務は「賃上げは全国的な傾向なのできっちりと対応していきたい」とし、来年度、給与体系を抜本的に見直すと強調。「高校生だけでなく、鉄道学科がある専門学校の生徒らを対象に、住民の生活の足である鉄道の仕事のやりがいやワークライフバランスの推進もPRしていきたい」と述べた。