坂本勇人で巨人7戦ぶりの白星 「まだ通過点」NPB歴代14位山本浩二に並ぶ2339安打、川上哲治にはあと12
◆JERA セ・リーグ 巨人2―0中日(23日・ひたちなか) 巨人が茨城・ひたちなかでの中日戦に快勝し、連敗を3で止め、7戦ぶりの白星を手にした。坂本勇人内野手(35)の初回の先制打、4回には萩尾の適時打で挙げた2点を、4投手の完封リレーで守り切った。今季6度目の完封勝ちは12球団最多。先発の山崎伊織投手(25)は7回途中3安打無失点の力投で2勝目を挙げた。9連戦の初戦を白星でスタートし、中日と入れ替わって2位に浮上した。 【動画】坂本勇人の力強く、美しいロングティー 千両役者らしい、さすがの集中力だった。坂本は浮いた球を逃さなかった。両チーム無得点の初回1死二塁。1―1からの3球目、小笠原の真ん中高め130キロスライダーに反応した。詰まりながら引っ張った打球は左翼の芝生で弾む。貴重な先制適時打は3連敗中のチームを勝利へ、そして2位浮上に導く決勝打にもなった。「(オコエが)ツーベースを打って回してくれたので、何とか打てて良かったです」。試合前時点では得点圏で18打数1安打の打率0割5分6厘と苦しんでいただけに、自身にとっても価値ある一本だ。一塁上で両手を2回たたくと、爽やかに笑った。 また一歩レジェンドへの階段を上った。V打は、通算2339安打目。山本浩二(広島)に並んでNPB歴代14位になった。「まだ通過点なので、積み上げられるように頑張ります」。13位の川上哲治(巨人)までは残り12本と射程に捉えた。偉大な記録もまだまだ道半ば。試合前に黙々とスクワットやランジなどのトレーニングを行うなど、入念な準備を怠らない背番号6の歩みは止まりそうにない。 柔軟な心があるから安打を長年積み上げることができる。矢野打撃コーチは「(坂本)勇人のすごいところはあれだけ実績があってももっと良くしようと思って、いろんな人に話を聞きにいくんだよね。年齢とか関係なく、年上の人にも年下の選手とも話をしているよね」とうなる。グラウンド内外で多くの選手と野球談議に花を咲かせるのは日常。このオフに自主トレを一緒に行ったオコエも「僕なんかの打席での待ち方だったり、構えの話とかをすごい熱心に聞いてました」と坂本の探究心に驚く。実績を重ねてきたが、野球少年の頃から気持ちは変わらない。もっとうまくなりたいという向上心が35歳を突き動かしている。 チームは7試合ぶりに勝利。阿部監督は「坂本が最初に打ってくれたのでチームも勢いづいた。僅差をものにしたことでチーム全体で乗っていける」と目を細めた。12日・広島戦(東京D)の第1打席で2号ソロを放って以降に23打席連続無安打を経験したが、もう心配はいらない。「もう少し打てるように頑張ります」。復活した坂本が阿部巨人を押し上げていく。(宮内 孝太) ◆宮本和知Point 勇人はいい当たりではないけど、結果が出れば上向いてくる打者。彼が打てばチームが乗ってくるしね。何より、その前にレフト前を二塁打にしたオコエの好走塁が大きかったよ。4番・岡本和の前後は、先発投手が左ならこの形、右なら3番・丸、5番・坂本でもいいと思う。なかなか点が取れない状況が続く中、ベテラン2人が一定の状態にあることが重要になるね。(スポーツ報知評論家・宮本 和知) ◆記録室 坂本(巨)が初回に先制のタイムリー。4月7日のDeNA戦以来、今季2度目の勝利打点をマークした。前回はチームの連敗を2でストップ。今回も巨人の連敗を3で止める貴重な一打となった。 坂本の勝利打点は、高卒1年目の07年9月6日に中日戦で記録してから、通算150度目。50年の2リーグ制後、巨人打者で150度以上の勝利打点は 〈1〉王 貞治289 〈2〉長嶋 茂雄259 〈3〉阿部慎之助162 〈4〉原 辰徳152 〈5〉坂本 勇人150 坂本が5人目だ。対戦カード別の回数は、中日32、阪神27、広島とDeNA各26、ヤクルト15、交流戦24度。中日戦が最も多い。 ちなみに坂本が初めてV打を記録した試合は、巨人にとって中日戦の通算900勝目だった。この日で通算1109勝目となったが、2リーグ制後に限れば1000勝目の記念勝利になった。(阿部 大和)
報知新聞社