小林幸子「思い込みを捨て、思いつきを拾うと言う言葉が好き」 60年の月日を歩み続けられた“秘訣”を語る
小林幸子の新橋演舞場での記念公演に密着取材した「完全密着!小林幸子 デビュー60周年~栄光と苦難の旅路~」が、10月30日(水)よる7時からBSテレ東で放送される。苦しい下積み時代から紅白歌手に上り詰め、いまやネットでも“ラスボス”として人気を博している小林。60周年という大きな節目を迎えるにあたり、思いや歌への愛、また100枚目となる60周年の記念曲「オシャンティ・マイティガール」について小林に語ってもらった。 小林幸子、60年の月日を歩み続けられた“秘訣”を語る ■60年続けてきた秘訣は「やっぱり歌が好きだからじゃないですか。それに尽きる」 ――デビュー60周年と言う大きな節目に際して、率直に今のお気持ちを教えてください。 いまが1番楽しいです。いろいろなことやらせていただいて、楽しんでやっています。人に楽しんでもらうには、自分が楽しまなくちゃダメだということを経験してきてわかっていますから。気負わないで歌手をずっと続けてこられて、こんなに幸せなことはないです。 ――これまでの60年を振り返って、ここまで続けて来られた秘訣はなんだと思いますか? やっぱり歌が好きだからじゃないですか。それに尽きるでしょうね。好きな歌を歌っています。今は嫌いな歌は歌いません。ジャズは聞くのも好きで、もう酔いしれちゃいますね、うまいジャズ聞くと。 ――小林さんはさまざまなジャンルを歌われていて、デビュー50周年以降はニコニコ動画での活動なども印象的でした。50周年から60周年に至るまでの10年間で、大きな変化があれば教えてください。 やっぱりボカロ曲との出会いが大きかったですね。私は思うんですが、“いままで自分はこれだけのことをやってきて、こんな賞をいただいてきた”…というようなことにとらわれていると置いていかれてしまう。いまの時代の空気を吸わないとダメですね。 やってみて嫌だったらやめればいいんです。ボカロ曲は生身の人間が歌うために作られた曲じゃないから、とんでもない早口や息が続かない長さだったりするんですけど、そこも面白がっています。なかには泣ける歌もあるんですよ。 ■「私は思い込みを捨て、思いつきを拾うと言う言葉が好き」 ――60周年の記念曲「オシャンティ・マイガール」は今風のポップな楽曲ですが、演歌ではなく同曲をシングル100枚目に選んだ理由を教えてください。 それが選んだわけじゃなくて、気が付いたら「あれ?100枚目ですね」という具合だったんですよ。この曲は初めて聞いたときはコミックソングかなと思ったんですけど、2回目に聞いてみたら全然違う歌だということがびっくりするほどわかってきました。愛を歌ってるんだと気づいたんです。 裏側に込められた歌詞を感じ取ってくれる方もいて、泣いちゃう方もいらっしゃって…。昭和風のメロディがあったり、ラップのような部分もあったりと、さまざまな要素を詰め込んだ曲なんですけど、作ってくださった方に「いろんな曲を歌ってきた幸子さんしか歌えない曲です」と言ってもらえたのは嬉しかったですね。 ――この楽曲のミュージックビデオでは踊り手さんとコラボもされていますが、小林さんの活動を見させていただいているとインターネットとテレビの垣根がないように感じます。とくに意識されていることはありますか? 垣根なんてはじめからないと思っています。私は「思い込みを捨て、思いつきを拾う」という言葉が好きなんです。思い込みを捨てないと、新しいものは入ってきません。 「他人は私のことをこう思ってんじゃないかしら」なんて思い込んだりするものだけど、実は自分が思っているだけなんですよ。他人のことを気にしていたら、何もできないですよね。以前もギャルになったりDJをしたりしましたけど、何も自分からギャルになりたいって言ったわけじゃなくて、やりましょうよって言われると断れない性格なんですよね。それでみんなでやってると自分も楽しくなっちゃいます。 ■私がこれをやろうっていうよりもみなさんが私の先に道を作ってくれる ――さまざまなことにチャレンジしている小林さんですけれど、今後挑戦したいことはありますか? なんというか、言葉が大きいんですけど、社会貢献になることをちゃんとやってみたいと思っています。子ども食堂への支援も始めました、お米を作っている関係で、お米を支援しています。 私はまだ勉強中ですけど、農業のサポートをしたいと思っています。いま農業は後継者問題があって、過疎地も多いんです。そこで、若い人たちに農業の楽しさをわかってもらいたいと思っています。まだ目標を立ててやっているわけではないんですが、やってるうちにみんなが集まってきて…。コロッケちゃんや友だちと、みんなでやろうよって話しています。 お仕事でもね、私がこれをやろうっていうよりもスタッフのみなさんが私の先に道を作ってくれるんです。「ホーンテッド・マンション」の吹き替えをやったのも楽しかったです。悪役っていままであまりやってこなかったけど、悪役の歌ってこんなに面白いんだと思いました。 ――新しいことも次々手がけられて、小林さんを見させてもらっていると元気が湧いてきますが、小林さんの元気の秘訣を教えてください。 それはもう、歌うことです。歌でストレスをためることもあるけど、結局歌で発散してますね。あとは猫!猫に癒やされています。男の子が2匹居るんですけど、一匹は旦那様にべったりでもう一匹は私。かわいくて仕方ないんですよ。 ――では最後に番組の見どころを教えてください。 「完全密着!小林幸子 デビュー60周年~栄光と苦難の旅路~」はライブ映像あり、インタビューありの番組で、「小林幸子といえば演歌」とイメージしている方に、特に届けたいと思っています。なぜ今日まで歌い続けてきたのか、私の歌への思いというものが伝わると思うので見てもらえると嬉しいです。 ◆取材・文=入江奈々