（写真：南日本新聞社）

　２０２０年２月に生後１カ月の娘を殴り死なせたとして、傷害致死の罪に問われた鹿児島県肝付町新富、会社員の被告男（２６）は１７日、鹿児島地裁（小泉満理子裁判長）で開かれた裁判員裁判初公判で「間違いない」と起訴内容を認めた。 もう限界だ。還暦を過ぎた男は七輪と練炭を買った。母は認知症。「床ずれが一切ない」と医師も驚く緻密な介護で支えた。睡眠2時間の日々…特養入居4日前、孤独は沸点に達した〈法廷傍聴記〉

　検察側は冒頭陳述で、妻が家事をせずに外出したことに加え、抱いてあやしても娘が泣きやまず、いら立ちを募らせたと指摘。「左手で後頭部を支えた状態で、右手の拳の裏を頭に振り下ろした」と述べた。弁護側は「妻の元夫の３人の子どもにも愛情を注ぎ、それまで手を上げることはなかった」と主張した。 　起訴状などによると、被告は２０年２月２６日夜、当時住んでいた鹿屋市の自宅で実子の女児の前頭部を拳で殴り、頭蓋骨骨折や急性硬膜下血腫などの傷害を負わせ、搬送先の病院で同２７日、脳障害で死なせたとされる。 　当時、被告は妻と４人の子どもの６人で暮らしていた。暴行後、自ら「子どもが息をしていない」と１１９番。搬送先の病院が「頭にあざのような変色があり、虐待の恐れがある」と鹿屋署に通報した。