ナス、エノキタケが「ステーキ」に 野菜メインの料理がヒット
「タイパベジ」名前変え主菜へ
野菜を食べ応え抜群のステーキに──。健康志向の高まりを背景に動画投稿アプリやレシピサイトで野菜が主役のメイン料理の提案が広がっている。「サーロインなす」など名前でメイン料理に使えることをアピールする野菜も登場。飲食店ではエノキタケの石突きを使ったステーキが人気を集めている。 【写真】エノキタケの石突きを使ったステーキ ネット検索大手・グーグルでの検索頻度を指標にする「グーグルトレンド」によると、「大根ステーキ」や「えのきステーキ」など野菜を使ったステーキの検索頻度は年々増加傾向だ。 レシピ検索サイトを運営するクックパッドによると、野菜を主役にした主菜のレシピ提案は、近年の健康志向の高まりで増加傾向にあるという。共働き世帯や、新型コロナ禍の落ち着きによる外出頻度の増加で外食や中食の機会が増えた人たちから「自炊ではしっかり野菜を取り、ヘルシーに済ませたいというニーズが高まっているのではないか」(同社)と分析する。 オイシックス・ラ・大地(東京都品川区)は、運営する食品の宅配サービス・Oisix(オイシックス)で、一部の野菜を今夏から「サーロインなす」や「ステーキれんこん」のように、主菜として使えるイメージができる名前に変えて販売。同社はこれらの野菜を、「タイパベジ」と名付けた。 食べ応えがあり、焼くだけと調理が簡単で献立を考える時間を短縮できることから、タイムパフォーマンス(時間対効果)志向に対応する。同社は「野菜だからこそ油をたっぷり使って調理してもヘルシーに食べられる」と勧める。ロメインレタスの焼きシーザーサラダなどミールキットも販売。同社は今後もタイパベジの需要拡大を見込み、「季節ごとの旬の野菜でこれからも提案を増やしていきたい」と話す。
捨てる石突き おいしく新提案
居酒屋「塚田農場」では、エノキタケの石突きを使った「加藤えのき 月見ステーキ」を秋の定番メニューとして、2014年から提供している。運営会社のエー・ピーホールディングス(東京都豊島区)は「捨てられることが多い石突きの部分が、実はおいしいことを知ってほしいと思い、提案した」と話す。 同メニューはボリューム感のあるエノキタケの石突きの上に地鶏つくねと卵黄を合わせた料理。販売点数は毎年増加傾向で「食材の意外性や、エノキタケのしゃきしゃきとした食感としょうゆベースの甘辛いたれとの抜群の相性で根強いファンも多い」(同社)という。 (永井陵)
日本農業新聞