廃校活用 福島県石川町の社団法人 ネットワーク構築へ 交流企画や相談事業10月27日サミット
増え続ける廃校舎の利活用を後押しするため、福島県石川町の一般社団法人「ひとくらす」は活用希望者と廃校を所有する自治体を結ぶネットワーク構築に県内で初めて乗り出す。交流イベントの開催や相談事業などに取り組む。手始めとして活用の可能性や魅力を発信する初の企画「レイワ廃校サミット」を10月27日に町内で開く。 県教委の2021(令和3)年度の調査によると、公立小中学校と高校、特別支援学校の廃校舎は計243施設。このうち約2割の58施設の使い道が決まっていない。維持管理費は1施設当たり年間約200万円で、廃校舎や土地を所有している自治体が負担している。県や市町村は利活用策を講じているが、建物の老朽化や、どう効果的に活用するかに頭を悩ませている。 ひとくらすは早ければ来年度、ネットワークを設立し、県内の廃校活用団体や利用を検討している事業者、市町村などが加入する見通し。事務局はひとくらすが担い、国や自治体の補助制度の紹介などに取り組む。加入者がアイデアを出し合い課題を解決する場を提供し、有意義な活用法を探る。
県内では廃校舎が福祉施設や交流施設、企業の事業所などに活用されている例がある。生まれ変わった施設の間で情報を共有する場は少なく、ネットワークは利活用の成功例や経験を共有する狙いがある。 ひとくらすは石川町の旧中谷二小が2015(平成27)年に閉校したのをきっかけに、住民が中心となり結成。町が建物を改修して2021年に校舎を交流施設として開所し、ひとくらすが運営している。企業研修や合宿などの受け入れ、林業体験事業などを展開している。 代表理事の三森孝浩さん(63)は「当初は相談できる人がおらず、手探り状態だった。試行錯誤を重ねた自分たちの経験を伝えたい」と意気込む。 廃校問題に詳しい一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構の畠山徹業務第1部審議役は「廃校はさまざまな使い方があり、ネットワーク化はノウハウの蓄積、共有に有効な手段だ。情報発信は地域住民や自治体の機運醸成につながる」と期待している。
■地域協力隊らがトークイベント レイワ廃校サミットは10月27日午前9時から石川町の旧中谷二小校舎を改修した施設「ひとくらす」で催される。 県内の廃校利活用団体代表や地域おこし協力隊らがトークイベントを繰り広げる。地産地消レストランを開き、山菜おこわや牛ステーキなどを提供する。地域おこし協力隊の活動報告ブースを設ける。 観覧無料。