『マイハル』広瀬アリスと道枝駿佑の初々しいラブシーン 想いが通じ合うも前途多難に
「ホント、あっという間だからね。モタモタしてちゃダメだよ」 “アオハル”とは、その一瞬一瞬が人生のターニングポイントとも言いたくなるほど、大事な瞬間がギュッと詰まった時間のことを言うのかもしれない。その鮮やかな日々を描く本作も、驚くほどにストーリー展開が早い。そう、モタモタしていたら私たち視聴者が置いていかれてしまうほどに。 【写真】拓(道枝駿佑)とキスをする佐弥子(広瀬アリス) 前回、夜のプールで佐弥子(広瀬アリス)と拓(道枝駿佑)がキスをするという衝撃的なラストで話題をさらった『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系/以下『マイハル』)。だが、第5話となる今週は、さらなる急展開で観る者の心をブンブン揺さぶる。あのキスの瞬間、2人ともお互いを愛しく思ったのは確かだった。しかし、佐弥子は拓との10歳の年齢差に、そして拓はキイナ(伊原六花)への失恋直後ゆえに、このキスからすぐに恋愛を進めていくことに抵抗感を持つ。そこで、佐弥子のほうから「(あのキスは)なかったことに」と提案。そのまま、いつも通りの関係性を取り戻そうとするのだった。 だが、一度芽生えた恋心というのは、決してなかったことにはできないもので……。距離を取ろうとするほど、つい相手を目で追いかけてしまう。そんな2人の空気が変わったことに、ルームメイトの龍之介(水沢林太郎)も気づいてしまうほどだった。そして、拓が奥手なことを誰よりも知っているキイナも、2人のすれ違う想いがもどかしくて「モタモタしてちゃダメだよ」なんて拓に釘を刺したくなるのだ。 そんなキイナが恋愛トラブルに巻き込まれ、佐弥子と女の友情を育んだのも第5話の見どころのひとつだった。拓の告白を断り、12歳も年上の男性と付き合うことにしたキイナだったが、それから半年ほど経ったころに既婚者であることが判明。男性の妻から慰謝料を請求されてしまうというピンチに見舞われた。それに気づいて、助太刀をしたのが佐弥子だった。 これまで年齢の割に、大人っぽい雰囲気を漂わせていたキイナ。だが、それはどこか背伸びをしていただけのことで、やはり中身は年相応の女の子なのだと、佐弥子が隣で支えたことでよくわかる。涙が出てくるのは傷ついた自尊心を回復させようとしてるだけ。決して相手のためではなく自分のために泣いているのだと慰める佐弥子。その姿にも、普段は学生らしいテンションで日々を過ごしているが、その中身は大人の女性なのだと気付かされるシーンだった。 まだ人生経験が浅い若者に、恋愛の楽しい部分だけを見せていくズルい大人がいるということをキイナのケースで改めて考えさせられる。ともすれば、拓との恋の進め方を間違えれば、自分もそうなりかねないのだということも。佐弥子としては、誰よりも愛しいはずの拓の貴重な時間を搾取することになってしまうのだけは避けたい。 そうして分別のある大人の女性として、拓のことを真剣に考えているからこそ、こうして冷静に考えられなくなるほど気持ちが溢れてしまう日が来るのが怖くなるのだ。愛しているからこそ身を引く……という選択ができるのも、また大人の恋。佐弥子は1人、シェアハウスの“サグラダ・ファミリ家”を出ていくことを計画する。だが、タイミングよくスマホに届いた不動産業者からのメールに拓が気づいてしまう。奇しくも帰省時期でシェアハウスにいるのは、拓と佐弥子のみ。佐弥子が恐れていた気持ちが溢れる日がやってきてしまったのだ。 だが、それは拓も同じだった。クールな雰囲気を漂わせる拓の、熱く力強いバックハグ。そして抑えきれない表情でのキスに、もう離すまいという強い気持ちが表れた佐弥子を包む手。無言のシーンだけれど、あの夏の夜のキスから半年もの間、募らせていた想いが溢れに溢れて思わず溺れそうになる。そして、初々しくて胸がキュッと締め付けられるようなラブシーンに目を奪われていたら、あっという間に朝日が差し込み、真凜(飯沼愛)の声でハッと意識が戻った視聴者も少なくなかったのではないだろうか。 これがいろいろと察してくれる龍之介だったら空気を読んでくれたかもしれない。でも、父親の日向にさえバッサリと「すぐブロ削案件だよ」なんて言い切る真凜のこと。シェアハウスのルール、「ハウス内での恋愛およびエロいこと全般禁止」を見逃してくれることはなさそうだ。せっかく想いが通じ合ったと思ったら、今度はシェアハウスを出ていかなければならなくなるなんて、まさに前途多難。関係性も、生活環境も、一気に変わってしまうことになるが、2人は大丈夫なのだろうか。予告映像を見ると、さっそく揉めている様子。もう第4話、第5話を上回る衝撃的なラストはなかなかないだろうとは思いつつも、さらなる急展開でまた視聴者を翻弄してくれるのではないかと期待をしたくなる。
佐藤結衣