智弁和歌山4季ぶり県大会V 中谷監督「優勝当たり前だと思ってない。勝ててないのは僕の責任」
<春季高校野球和歌山大会:智弁和歌山6-1和歌山東>◇12日◇決勝◇紀三井寺運動公園野球場 智弁和歌山が和歌山東に快勝し、2年ぶりに春季和歌山大会を制した。県大会での優勝は22年秋以来4季ぶり。 今大会初登板初先発した背番号19の身長197センチ、100キロの大型右腕、中西琉輝矢投手(3年)が9回5安打1失点、137球の熱投で完投勝利を挙げた。 「チームが勝てたことが一番うれしいことですし、今日は自分が1人で投げて勝つという気持ちで最初からマウンドに上がったので、うれしかったです」 新チーム発足時はエースだったが、春先から状態が上がらなかった。中谷仁監督(45)と相談して実戦から離れ、3月下旬から5月上旬にかけて「ミニキャンプ」として期間が設けられた。約2週間は投球練習も行わず、徹底的に下半身と体幹を鍛え上げ、春季大会の決勝のマウンドに立った。「スピードが上がった」とこの日は自己最速を1キロ更新する145キロのキレのある直球を軸とした投球で1人で投げきった。 7回終わりには指揮官に「相手のピッチャーが降りてないので、自分も降りたくない」と志願の続投で最後まで投げ抜いた。中谷監督は「彼の意地をみた部分がある。3、4人くらいいるエース候補に加わってきてくれている」と評価。「体格だけでいうとメジャーリーガーにも負けない。あと細かいフィジカル面だとか、筋力がついて自分の体を操ることができれば本当に楽しみ。球界の宝の1人ではあると思う」とさらなる進化を期待した。 4季ぶりの県大会優勝が決まった瞬間もナインは喜びを爆発させることなく、淡々と試合後の整列、閉会式に臨んだ。中谷監督は「優勝して当たり前だとは思っていない。勝ててないのは僕の責任」と話しつつ、「何が何でも夏、甲子園に行くぞということを、まだまだここから切磋琢磨(せっさたくま)しながら達成していきます」と誓った。25日から兵庫・明石トーカロで開催される近畿大会で2年ぶりの優勝を目指す。【古財稜明】