野菜摂取量「多」心血管疾患リスク「下」 「ベジメータ」で関係可視化 聖隷浜松病院・尾花センター長ら英誌に発表
聖隷浜松病院(浜松市中央区)の尾花明アイセンター長らのグループが、野菜や果物に含まれる栄養素「カロテノイド」の量を測定する装置を使って心筋梗塞や脳梗塞といった心血管疾患の発症リスクとの関係を可視化し、数値が大きい人ほど心血管疾患の発症リスクが下がることを示した。装置による可視化で、野菜を多く取る生活改善が起こり、健康寿命の延伸が期待される。英国の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。 聖隷健康診断センター(同区)の人間ドック受診者1130人に対し、指先に光を当てることで皮膚のカロテノイド量を0から1200までの数値で示す機器「ベジメータ」で測定した。心血管疾患の中等度以上のリスクがあると判断された人の割合は、ベジメータの数値が大きいグループほど低かった。数値が大きいグループ(495以上)は、小さいグループ(282未満)より75%も低いことが分かった。 尾花センター長らは先行研究として数年前、市内の小中学生を対象に半年間で3回、ベジメータ測定を行い、さらに半年ほどして抜き打ちでもう1回測定する試験を行った。3回目までの測定でベジメータ測定値が上がった人は、抜き打ち時も測定値が大きい傾向だったという。尾花センター長は「数値で示されると野菜不足が目に見えて分かるため、食生活改善の効果が持続しやすい」と分析する。 今後、行政の協力も受けて野菜不足と疾患リスク上昇の関係についての啓発を学校、企業など地域全体に広めたい考え。尾花センター長は「野菜を食べていると思っていても、十分な栄養素を摂取できている人は意外と少ない。可視化というエビデンス(証拠)により、市民に気付きを与えたい」と語る。 カロテノイド 野菜・果物に含まれる抗酸化栄養素。トマト、カボチャなど緑黄色野菜に特に多く含まれている。ヒトは体内で作り出すことができない。
静岡新聞社