長崎被爆2世の語り部「恐ろしさを英語で直接伝えたい」…ロサンゼルスで平和活動続けた叔父の遺志継ぎ講話
石田さんは被爆体験を教えてもらう約束もしていたが、かなわなかった。平和を願った遺志を受け継ごうと決意し、米国での活動を探った。坂田さんと親交があったLA在住の映像作家、新井淳蔵さん(50)に連絡を取り、講話が決まった。
ノーベル平和賞に被団協「世界が被爆者に目」
石田さんは2020年から語り部を続けているが、海外での講話は初めてだった。5か月ほど前から英文の原稿の作成を始め、発表当日の午前3時まで発音練習を重ねた。約30分の講話を終えると、大きな拍手が起こった。参加者から「原爆の投下を過去のこととするのではなく、現在でも起こりうると考え、核軍縮を求めていきたい」との感想が寄せられた。
日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の長崎県内にある下部組織の被爆2世の会に入っている石田さん。「被団協のノーベル平和賞受賞が決まり、世界が被爆者に目を向けている。機会があれば今後も核保有国で講話を行い、原爆や核兵器のことを考えるきっかけを作っていきたい」と話す。
日系双子姉妹「活動続ける勇気もらった」
「ウエストリッジ・スクール」に通う日系アメリカ人の双子の姉妹、岩田マノンさん、カノンさん(16)が石田さんの講話で司会を務めるなど運営を手伝った。
「誕生日が来るたび、生き残ってしまったことへの後悔と罪悪感を覚える」。姉妹は約2年前、ボランティアで訪れたLAの高齢者施設で、広島で被爆した男性からそうした話を聞いた。原爆のことを学んだことはなかったが、あの日に起こったことを伝えなければならないと決意した。
「軍縮と不拡散を目指す10代」という団体を設立し、被爆者に聞き取りなどを行い、テキストの作成を目指している。2人は「実際に石田さんに話を聞いたことで活動を続ける勇気をもらった。今後も原爆の悲惨さを伝えていきたい」と思いを新たにしている。