日銀の「マイナス金利解除」はあくまでも金融を「正常化」するため
テレビ東京・解説委員の山川龍雄が3月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日銀が決定したマイナス金利政策の解除について解説した。
日銀、マイナス金利解除
飯田)日銀のマイナス金利政策の解除について、どうご覧になりますか? 山川)日銀の植田総裁は、前任の黒田総裁が行った「異次元」と呼ばれる金融緩和について、少し強い言葉で言うと「異常だ」と思っていたのではないでしょうか。それを正常化するための第一歩を踏み出したのだと思います。
YCC、ETF、REITなど、既にやっていないものを「やりません」と言ったに過ぎない
山川)皆さん今回のことを「利上げが始まった」、あるいは「金融引き締めが始まった」などの見方をするのですが、あくまでも正常化するためなのです。しかも実態として、日銀がやっていなかったものを「やりません」と言ったに過ぎない。「マイナス金利だ」と大騒ぎしていますが、現在マイナス金利を負担している金融機関は、地銀の一部だけだったのです。メガバンクも関係なかった。 飯田)そうなのですか? 山川)それを今回は解除する。それから、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)も日銀はやっていませんでした。上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)に関しても、REITは2年前ぐらいからやっていませんし、ETFの買い入れもほとんど行っていなかった。つまり、今回は既にやっていなかったこと、ほとんど実体がないものを「もうやりません」と言ったに過ぎないのです。
春闘の結果を見て「やめます」と言ったのが今回の実態
飯田)現状追認のようなものですか? 山川)おっしゃる通りです。おそらく植田総裁が今回「やめる」と言ったものに関しては、ほとんど金融緩和の効き目はなく、どちらかと言うと副作用の方が大きいと思っていて、どこかのタイミングでやめなくてはいけないと考えていたのではないでしょうか。だからジワジワと実体のないものにしていき、「ここだ」とタイミングを見計らって発表した。今回の春闘では5%超という大幅な賃上げ率が示されましたが、このタイミングを見計らって、いままでやめてきたものを全部揃えて「やめる」と言ったのです。これが今回の実態ではないかと思います。