【波乱必至の和歌山2区】二階元幹事長の後継に三男が決定、衆院へのくら替え狙う世耕氏との“激突”の可能性も
■ 裏金疑惑でひっくり返った自民党の選挙戦略 ついに衆議院の和歌山“新2区”の自民党公認候補者が決まった。 【写真】2023年4月、衆議院和歌山1区の補欠選挙に当選した翌日、有権者に笑顔を向ける林佑美氏(日本維新の会)。前年8月に和歌山市議会議員になったのも補欠選挙でのこと。そこから8カ月で一気に国会議員に駆け上がった 和歌山は3つあった衆議院小選挙区が、次回選挙から2つに減る。現在は1区・林佑美氏(日本維新の会)、2区・石田真敏氏(自民党)、3区・二階俊博氏(自民党)が議席を持っている。ちなみに参議院和歌山選挙区は、鶴保庸介氏(自民党)と世耕弘成氏(離党勧告を受け自民党を離党)が占めている。 小選挙区の区割り変更を受け、従来、自民党和歌山県連は、1区には参院議員・鶴保氏を、2区には二階氏を擁立し、石田氏は比例区に回ってもらう予定だった。 このプランは自民党の政治資金パーティーの裏金疑惑浮上で水泡に帰した。 疑惑の主の一人となった現職の二階俊博氏が「次期衆院選には出馬しない」と今年3月に表明。同じく参議院議員の世耕氏が自民党を離党するに至り、新1区から出馬予定だった鶴保氏が「自分がくら替えしてしまうと和歌山県選出の参議院議員がいなくなる」として、くら替えを撤回。これによって和歌山新1区、新2区とも、自民党県連が予定していた候補者が出馬しないという事態に直面することになったのだ。
■ 自ら後継者を決めることが叶わなくなった二階氏 特に注目されていたのは、二階氏が出馬する予定だった新2区のほうだろう。何と言っても、二階氏が裏金疑惑を抱えたまま引退するという経緯と、その後継者として息子の存在がクローズアップされてきたからである。 裏金問題で二階氏個人の不記載額3526万円は党内最多。だが責任を負ったのは二階氏の秘書だけだった。政治資金収支報告書に記載せず、寄付の合計額を虚偽記入したとして略式起訴され、罰金100万円と公民権停止3年が確定している。 また、二階氏は幹事長時代に党から政策活動費として5年間で50億円を受け取っているが、その使い道についてはいまだに明確な説明がなされていない。 こうした疑惑が浮上した時点で、自らの次期総選挙への出馬の可能性はほぼゼロになっていたと言えるし、息子に地盤を世襲させるなどとても世間が許さない状況だった。そこで二階氏も表面的には、後継については「地元の判断に委ねる」という表現にとどめるしかなかったのだ。 それが5月17日、ようやく決まった。「和歌山県内の40を超える団体や、選挙区内の自民党県会議員19人中16人から出馬要請を受けて」という格好で、二階氏の三男・伸康氏(46)が、和歌山県田辺市で会見を開き、次の衆院選での和歌山新2区からの出馬を表明したのである。 だが、これで選挙に必ず勝てるかというと、それはまた別問題だ。