「ウクライナ解決」巡って業績争い…トランプ氏を意識したバイデン氏の「妨害」(2)
◇「間抜けなこと」…「弾劾可能な犯罪」 だが、バイデン大統領が政権交代期に無理筋を通しているという指摘も少なくない。大統領職はもちろん、上下院まで共和党が席巻した状況で今後政争のイシューになるだけでなく、法的責任攻防にまで発展する可能性があるという点でだ。弱り目にたたり目で、ロシアが「核教理(ドクトリン)」を改めて核兵器の先制使用の可能性まで開くなど戦争拡大に火の粉が飛び散りかねない状況だ。 トランプ氏は大統領選挙期間「(就任すれば)24時間ですぐ(ウクライナ)戦争を終戦させる」と公言してきた。現在トランプ陣営からはバイデン氏に対する非難が相次いでいる。ホワイトハウス大統領補佐官(国家安全保障担当)に指名されたマイク・ウォルツ下院議員は18日、フォックス(FOX)ニュースとのインタビューで「事前にこのような決定についての説明は受けなかった」と明らかにした。あわせて「状況悪化に向かうはしごをまた一段上がった」としながら「このことがどこへ向かうのか誰も分からない」と話した。 トランプ第2期の実力者に挙げられるトランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏もミサイル射程距離の解除に関連してX(旧ツイッター)に「間抜けなこと」としながら「軍産複合体は父が平和を作って命を助ける機会を持つ前に第3次世界大戦を起こしたがるようだ」と批判した。海外駐留米軍の撤退などを主張してきたトランプ氏の強硬派側近であリチャード・グレネル元駐独大使も「誰もバイデンが政権交代期にウクライナ戦争を拡大するとは予想できなかった」とし「まるで彼が完全に新しい戦争を始めるようだ」とSNSに記した。 ついに共和党内から弾劾の声まで上がった。共和党所属のトーマス・マッシー下院議員は「(ミサイル射程距離際限解除は)弾劾可能な犯罪」とし「バイデンはすべての米国市民の生命を威嚇する違憲的な戦争行為を犯している」と主張した。 ◇「結果的にはトランプに悪くない」 しかし一部では「バイデン氏の決定がトランプ氏に必ずしも不利なばかりではない」という話も出ている。相手を最大限圧迫して有利な交渉結果を引き出そうとするトランプ氏の気質上、ロシアを圧迫するバイデン氏の軍事措置が悪いばかりではないという解釈だ。匿名を求めたある外交消息筋は「トランプ氏が今回の事案に対して普段とは違って特に反応しないなど言葉を控えている様子」としながら「互いに事前に疎通したのではないかという疑いを持つほどトランプ氏には悪くないカード」と話した。 世宗(セジョン)研究所のキム・ヒョンウク所長も「バイデン氏が意図しなくても結果論的にはトランプ氏が停戦または終戦交渉を仲裁するのに良い口実になることがある」とし「もしウクライナがトランプ就任前までに総攻勢を行い、一部領土を回復する機会を作れば終戦案に対しても懐疑的になる必要がない」と話した。