京都橘、立命館宇治との強豪対決を制す
第102回全国高校サッカー選手権大会の京都大会・準決勝が11月5日にたけびしスタジアム京都(西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)で行われた。第2試合は3年ぶりの選手権出場を狙う京都橘と、夏のインターハイ予選で準優勝を果たしている立命館宇治の強豪同士の対決となった。 【フォトギャラリー】京都橘 vs 立命館宇治 試合は10分にスコアが動く。京都橘はMF桐原惺琉(3年)が右サイドから中央へドリブルで切れ込んで放ったシュートが相手選手に当たってコースが変わると、そのボールに宮地陸翔(2年)が反応して右足でネットを揺らした。勢いに乗る京都橘は27分、DF山本洸生(3年)のロングスローをゴール前で宮地が相手に競り勝って頭で押し込んでリードを広げる。対する立命館宇治は追いかける展開の中、最終ラインからパスをつないで攻撃を組み立てていくが、前半はシュートが3本のみに終わった。40分ハーフの前半は2-0と京都橘リードで折り返す。 後半、ゴールネットを揺らしたのは、またしても京都橘だった。44分、FW西川桂太(3年)が左サイドから中央へドリブルで侵入し、右足を振りぬいたミドルシュートがゴール右隅を捕らえて3-0とする。この得点の直後の46分、立命館宇治はMF花島結希(3年)を中盤の底へ投入して、MF森内秀太郎(3年)を本来の2列目へ上げて、攻撃に変化を加えようとする。56分にはDF岸本健太郎(3年)のロングスローからFW斉藤成峻(3年)がヘッドで狙うが、バーの上を越えた。72分には右サイドからパスをつないで攻め込むと、交代出場のMF佐伯瑠唯(1年)がエリア内で強烈なシュートを放つが、GK中浦悠大(3年)の好セーブに阻まれてしまう。 京都橘はリードを生かして試合を優位に進め、後半に投入された交代選手も躍動した。DF堀本隆太郎(3年)やFW増井那月(1年)がチャンスを迎え、惜しくも4点目とはならかったが、失点も許さずに試合終了。京都橘が3-0で勝利して、決勝進出を果たした。主軸となる選手の多くが昨年の選手権予選を経験しており、今大会は磐石の勝ち上がりを見せている。 キャプテンの西川は「積み上げてきたものが出たゲームでした。前半の先制点でチームに勢いが出たし、試合運びもよくできたと思います。ゴールはいつも狙っている。少し距離が遠かったけれど、思い切って打ったシュートが決まって嬉しいです」と振り返った。米澤一成監督は「スコアは3-0となりましたが、2点取った後に立命館宇治さんの決まりそうなチャンスもありました。どちらに転ぶか、わからないゲームでした」と話しており、決勝戦に向けて「ようやく、ここまで来れた。新チームの立ち上げから目指していた、東山さんへの挑戦権を得られました」と昨年のリベンジに燃えている。 敗れた立命館宇治は、インターハイ予選に続くファイナル進出はならなかったが、京都橘を相手に自分たちのスタイルを貫いて戦い、惜しい場面も作り出していた。山下弘樹監督は「今年、一番強いのは京都橘さんだと思ってた。そういう相手に対して、自分たちはどこまでできるのか。負けたことは良くないが、そこにトライできたことは良かったと思います」と話している。早い時間で先制点を奪われたが、選手たちはすぐに落ち着きを取り戻すと、最終ラインからパスをつないで前進していった。「敵陣でのアタックが少し単調になってしまった」(山下監督)という反省はあるが、ビルドアップに関しては敵将も「うちのプレスがはがされていた」(米澤監督)と評価している。10番を付けてプレーした森内も「冷静に落ち着いてビルドアップできた」と話しており、同時に「最後のパスやクロスの質や、そこへの受け手の入り方などは、もう少しこだわれたと思う。最後の質が足りなかった」と悔しがった。最前線を務めた斉藤は「シュートまで持ち込む特徴を出せた部分もあるけれど、ゴールにはつながらなかった。そこが自分たちの実力です。京都橘のCBは強かった」と話している。 キャプテンの茗原達希(3年)は「前半の2失点で少し冷静さを欠いてしまったけれど、そこから落ち着いてビルドアップできるところまで持ち込めたのは、選手権で成長できた部分だと思います。後輩たちに引き継いでもらいたいですね」と話し、最後に「京都橘は個が強く、そこにチームワークがある。強かった。決勝戦もがんばって欲しい」とエールを送っていた。 (文・写真=雨堤俊祐)