＜春の頂へ・２３センバツ智弁和歌山＞／下 課題を自覚、伸びしろ○ ／和歌山
地区大会優勝校が集う明治神宮大会へ――。そんな目標も現実味を帯びてきた近畿大会準決勝、報徳学園（兵庫１位）との試合は序盤、連戦の勝利を勢いに変えた智弁和歌山が攻勢に出た。 一回表に先制を許したものの、すぐにその裏、中塚遥翔（２年）の犠飛、湯浅孝介（２年）と松嶋祥斗（１年）の連続適時打で逆転した。 しかし四回、四球で出した走者に盗塁を許し、失策も絡んで無安打で失点したところから雲行きが怪しくなる。六回に同点に追いつかれ、八回には一気に４点を奪われて突き放され、６投手をつぎ込んだ継投は実らなかった。終盤、中塚が３試合連続となる豪快な本塁打を放ち球場の雰囲気を変えたかに見えたが、その後は報徳学園の継投に阻まれた。 ◇守備甘さ突かれ 「この試合も、初回に３点を先制された京都国際戦を振り返っても、失点の内容が悪すぎた」と中谷仁監督。「バッテリーの未熟さを含め、守備の不安定さが課題として突きつけられた」と見ている。 センバツに向け、明確になった課題に答えを出そうと選手たちは動いている。投手陣の主将を務める清水風太（２年）は「ストライクゾーンで勝負できる投球」を自らに課す。「制球ミスで打たれてしまうことが多かった。秋以降、直球の質にこだわり、ボールの持ち方、投げ方まで見直してきた」と話す。リードする捕手の石橋輝星（２年）は、前チームの中軸を担い清水らの投球を受けてきた３年生の渡部海からのアドバイスも受け「基本から見直す」と意気込んでいる。秋に経験を積んだ吉川泰地（２年）や清水に続く、核となれる投手の登場が期待される。 打撃陣のレベルアップもぬかりない。「勝敗の責任を背負う」と４番の自覚を持つ中塚には、相手の警戒も強まることが予想される。なかなか甘い球は来ないと見込んで、打撃の確実性を増すべく「頭の位置のブレなど、無駄な動きをなくしたい」と言う。出塁し、相手守備陣に重圧を与える役目が期待される多田羅浩大（２年）は、盗塁の技術向上を図り、高いクッションにジャンプして飛び乗るなどの瞬発力を鍛えるトレーニングを意識的に増やした。打撃では、「秋時点で苦手だったアウトコースの練習も繰り返し、自信がついた」。 ◇自発的に練習 準決勝の敗戦の悔しさを胸に、レベルアップを図る選手たち。「自分で考え、それぞれ時間を活用し、指示を出さなくても自発的に練習をしている様子を見ると、大学生のようで、よい傾向だ」と中谷監督は目を細める。「ポジションもあまり固定されていないので、全員にチャンスがある。チームは色づき始め。伸びしろがあり、変化が楽しみ」 進化途上の智弁和歌山は、たゆまぬ努力を重ね、チームで掲げる日本一の目標へ歩みを進めている。【大塚愛恵】 ……………………………………………………………………………………………………… 【秋季近畿地区大会】 準決勝＝●５－９報徳学園（兵庫１位）
