バイデン米大統領、中国は「排外主義的」-経済の諸問題も列挙
(ブルームバーグ): バイデン米大統領は17日、中国経済の諸問題を列挙するとともに、同国は「排外主義的」だと指摘した。中国経済を巡る否定的な発言としては最も直接的なものの一つとなる。11月の米大統領選の激戦州の一つであるペンシルベニア州を遊説中の大統領は、米経済の力強さを強調しようとしている。
ピッツバーグにある全米鉄鋼労働組合(USW)本部で演説した大統領は中国について、「勤労者よりも退職者の方が多い人口構成となっている。彼らは何も輸入しておらず排外主義的で、他に誰も入ろうとしていない。彼らは深刻な問題を抱えている」と語った。
バイデン大統領は中国の習近平国家主席と2日に電話会談を行ったばかり。米中関係はこのところ全般に安定しているが、中国での製造業投資が米国のブルーカラー労働者の失業につながりかねないとして緊張が高まっている。
大統領は、共和党の大統領候補指名を確実にしたトランプ前大統領の在任中の対中政策も批判。中国が台頭し、米国は後れを取っているとみるのは正しくないと述べ、「トランプ氏は単に分かっていない」と話した。
正式調査
大統領は17日、中国からの鉄鋼・アルミニウム輸入のうち、現在の関税率が0%ないし7.5%の製品について、税率を25%に引き上げるよう提案した。こうした関税が習主席との関係を損なう恐れはないかとの質問には、「ノー」と答えた。
バイデン大統領はまた、中国の商業造船セクター向け補助金などについて調査するよう、USWなどの労組から米通商代表部(USTR)に先月要請があったのを受け、USTRが正式に調査を開始することにも言及した。
中国商務省は17日、USTRの調査方針について、「虚偽の非難に満ちて」おり「国内の政治的な必要性に基づくものだ」と批判する声明を発表した。
このほか大統領は、半導体など先端技術を中国が入手できないようにする取り組みを継続する方針を表明した。
こうした技術に関し「米国の国家安全保障を損ないかねないため、中国に送るわけにはいかない」とし、「習近平氏と会談した際、彼は『なぜだ』と言った。そして私は『中国は悪い動機で利用しようとするため、こうした先端コンピューターチップを入手させることはない』と話した」と大統領は明かした。