「予想していなかった」戦型も動じず、藤井聡太棋聖が最年少永世称号に王手
将棋の藤井聡太棋聖(21)=竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将との八冠=が17日、新潟市「高志の宿 高島屋」で指された第95期棋聖戦五番勝負第2局で、挑戦者の山崎隆之八段(43)に先手の111手で勝利し、通算5期で得られる「永世棋聖」に王手をかけた。 1971年に永世棋聖を獲得した中原誠十六世名人が持つ永世称号の最年少記録(23歳11か月)の53年ぶり更新へマジック1。それでも藤井は「シリーズ中はそのことは意識せずにと思っているし、また次は後手番なのでしっかり準備しなくては」といつも通り、勝ってかぶとの緒を締めた。 戦型選択から挑戦者が藤井の意表を突く一局に。後手の山崎が飛車を振って向かい飛車に構え、藤井は「予想していなかった」。山崎の持ち味が出る展開かとも思われたが、藤井は的確に対応。寄せ合いになっても終始最善手を指し続けた。 今回の対局場は、96年にタイトルを独占していた羽生善治七冠(当時)が棋聖を失冠し、六冠に後退した地だったが、藤井は白星。20日には八冠堅持をかけた伊藤匠七段(21)との叡王戦五番勝負第5局も控えるが、八冠の強さに曇りはなさそうだ。(瀬戸 花音) 山崎八段、初勝利逃すも持ち味は発揮 タイトル戦初勝利が遠い山崎だが、持ち味は発揮。終局後も「後手番なのでおとなしくいくつもりでいたんですけども、お昼あたりで桂が跳びたくなってしまった。良くなかったです(笑い)。気が変わってしまって」との自由で素直なトークで、藤井からも思わずニヤリと笑みがこぼれた。 第3局は7月1日に名古屋市で指される。「意欲的に動くのが自分の持ち味。(本局は)ただただ相手が強かったのと、自分にまとめる力がなかった。次局は先手番ですのでしっかり頑張りたい」。自分らしく、大舞台で1勝をもぎとりにいく。
報知新聞社