衝撃TKO勝利でロマゴンが3年ぶり世界王者復帰…「次は統一戦」ターゲットはWBO世界王者の井岡一翔か
プロボクシングのWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが29日(日本時間3月1日)、米テキサス州フリスコのフォードセンター・アットザスターで行われ、挑戦者の元世界4階級王者、ローマン・ゴンサレス(32、ニカラグア)が、6度目の防衛に挑んだ王者のカリド・ヤファイ(30、英国)を9回25秒TKOで下し、約3年ぶりに世界王座に返り咲いた。ゴンサレスは、2017年3月にシーサケット・ソー・ルンヴィサイ(33、タイ)に判定負けし、プロ47戦目にして初黒星を喫すると同年9月に再戦したが4回KO負け。その後、ニカラグアの政局不安や、膝のケガなどで世界挑戦のチャンスを逃していたが、昨年12月23日に横浜アリーナでWBA世界ミドル級王者、村田諒太(34)の前座で、ディオネル・ディオコス(フィリピン)に2回TKO勝ちし1年3か月ぶりの復帰戦を飾っていた。衝撃のTKO勝利で王座復帰したロマゴンは、試合後、「次は統一戦だ」と、WBO世界同級王者、井岡一翔(30)との対戦をほのめかした。
一撃の右ストレートで5度防衛王者がダウン
かつてパウンド・フォー・パウンドの称号を手にしたこともある”ロマゴン”が帰ってきた。9ラウンドだった。左から強烈な右ストレートでヤファイの顔面を打ち抜く。ヤファイは、背中からドスンとキャンバスに倒れた。起き上がろうとするが、あまりものダメージに体が動かない。レフェリーは、カウントをとらず、その体を抱きかかえるようにしてTKOを宣告した。悲願の王座復帰。ロマゴンは、コーナーにひざまずき神に祈りを捧げた。 「神、メキシコ、そしてニカラグアの人々に感謝したい」 試合はスタートから至近距離での乱打戦になった。 ヤファイは、強打のロマゴンに対して、本来の出入りのボクシングを捨て、足を止め打ち合いに挑んだのである。対するロマゴンは、サイドステップをうまく使いながら、まるで扇風機のように、左ジャブ、右ストレート、左右ボデイに、左右アッパー、右フックと、縦横無尽にコンビネーションブローを打ち込んでいく。 ヤファイは、左ジャブ、左の上下のパンチで、なんとかペースを奪い取ろうと対抗するがロマゴンの軽快なパンチとテンポを止めることができない。流れるような手数に圧倒され、何度かマウスピースを吐き出し、クリンチで動きを制するのが精いっぱい。 ロマゴンが確実にポイントを積み重ねていく。 6ラウンドには、ロマゴンが右の目尻をカットしたが、7ラウンドには真横から右のフックを続けてぶん回してヤファイがバランスを崩すシーンも。そして8ラウンド。ここまで、なんとか足を止めて応戦していたヤファイが、ついに耐え切れず足を使って下がった。 51戦目となる歴戦のロマゴンは、その折れかけた心の隙を見逃さない。コーナーに追いかけて、左ジャブをヒットさせると、バランスを崩したところに右のフックを打ち下ろした。ヤファイは、思わず膝をつきダウンを宣告された。ゴングに救われたが、5度防衛の名王者もロマゴンが仕掛けてきた9ラウンドのラッシュを防ぎきることはできなかった。 「彼が足を止めインサイドで戦うことを望んだことに驚かされたが、準備はできていた。彼は普段多く動くが、私のために、そこに立っていてくれた」 ロマゴンにとってみれば、ヤファイが、ステップワークを使いヒット&ムーブを徹底するボクシングスタイルを採用しなかったことが幸いした。