世界女王・坂本花織が優勝候補の一角! 若手の吉田陽菜&住吉りをんは大舞台で実力を発揮できるか?【GPファイナル】
今季前半のグランプリ(GP)シリーズ上位6名が出場するGPファイナルは、中国・北京で12月7日に開幕する。今季も日本女子は健闘しており、坂本花織、吉田陽菜、住吉りをんの3名が進出した。 【画像】優勝候補の坂本花織!世界フィギュアで見せた“圧巻の演技”を振り返る 世界選手権2連覇中の坂本花織は、今季も世界を牽引している。GP第2戦スケートカナダ、第5戦フィンランド大会を連勝し、地力の高さを見せてファイナル進出を決めた。10月のスケートカナダでマークした合計226.13点は、現状での今季世界最高点だ。 フィンランド大会のショートでは3回転を予定していたフリップが2回転になるも、後ろにきっちり3回転トウループをつけ、無得点になる事態を防いだ。このコンビネーションジャンプについてテレビのインタビューで問われた坂本は、自信をにじませるコメントをしている。 「練習でも、よくあることなので。練習でしっかり後にトリプルトウループをつける練習をしていたので、それがこの結果になったのかなと思う。こうなるかもしれないという予測をしてやってきて、逆によかったなと思いました」 坂本の強さが質の高い練習で培われていることを、改めて感じさせる言葉だった。 メンタル面で苦しんでいた昨季前半と違い、今季の坂本はGPシリーズから前向きに臨んでいる。強いて懸念事項を挙げるとすれば、8月から続いているという右足甲の痛みか。体調面の問題なく本来の滑りをみせることができれば、坂本がファイナルを制する可能性は高い。 意外なことに、坂本は今までファイナルの表彰台に立ったことがない。4回転やトリプルアクセルといった大技を持たないことを弱みにせず、徹底的に持ち技を磨き上げることで盤石の強さを築き上げてきた坂本が、初のタイトルに挑む。
吉田陽菜は、昨季はジュニアのカテゴリーで進出したファイナルに、今季はシニアスケーターとして出場する。GP第1戦スケートアメリカでは4位だったが、第4戦中国杯でGP初優勝を果たし、ファイナルへの切符を勝ち取った。 昨季ジュニアGPイタリア大会で成功させたトリプルアクセルに、吉田はシニアに上がった今季も、フリーだけではなくショートでも果敢に挑み続けている。今季GPではまだトリプルアクセルを決めていないが、ファイナル進出は大技がなくとも勝ち切る力を持つことの証明でもある。大舞台でトリプルアクセルを決められれば、シニアデビューシーズンで大きな自信を得るだろう。 シニアデビュー2シーズン目で初のファイナル進出を果たした住吉りをんの武器は、4回転トウループだ。一年以上挑み続けてきた4回転トウループをGP第3戦フランス杯のフリーで遂に成功させ、総合3位に入った。テレビのインタビューで、採点上でも4回転トウループの成功が認められたことを聞かされた住吉は、涙ながらに喜びの言葉を口にしている。 「本当に頑張ってきてよかったなと思うし、これからも自分の武器にできるようにしたい」 住吉は第5戦フィンランド大会のフリーでも4回転トウループに挑んでおり、着氷が乱れ回転不足となるも降りている。他のジャンプでもミスが出たものの後半立て直す強さを発揮し、総合2位に食い込んだ粘りがファイナル進出につながった。伸びのあるスケーティングや美しい所作も持つ住吉には、初の大舞台でも気後れすることなく力を出し切る演技を期待したい。 今季220点を超える合計点をマークしているのは、坂本と昨季ファイナル銅メダリストのルナ・ヘンドリックス(ベルギー)だけだ。優勝候補の二人を、昨季ファイナル銀メダリストのイザボー・レヴィト(アメリカ)、新鋭ニーナ・ピンザローネ(ベルギー)と吉田、住吉が追う展開か。 出場選手6名のうち半数を占める日本女子が、それぞれの強さを発揮することを期待したい。 文●沢田聡子