JR仙石線が4年2か月ぶり全線復旧 津波被害の大きい区間は高台に移設
宮城県の仙台市と石巻市を結ぶJR仙石線(せんせきせん)が30日、全線復旧した。沿岸部を走る同線は、東日本大震災の津波で大きな被害を受け、一部区間が不通になっていたが、4年2か月ぶりに全線がつながる。同時に、東北本線との直通運転を行う「仙石東北ライン」も運行を開始した。 【写真】三陸鉄道が全線復旧 被災地の思い背負い「再出発」
高城町駅~陸前小野駅間で運転再開
仙石線は、仙台市のあおば通駅から石巻駅までの31駅を結ぶ同県内の主要路線。震災による津波で線路や駅舎、列車が流され、高城町(たかぎまち)駅~陸前小野駅間(約10.5キロ)が運休したままになっていた。特に被害の大きかった東松島市の陸前大塚駅~陸前小野駅間では、約3.5キロの区間の線路を内陸の高台に移設して復旧を目指した。これにより、東名(とうな)駅は約600メートル、野蒜(のびる)駅は約500メートル内陸側に移動し、仙石線は震災前のルートより1.2キロ短い49.0キロになった。 仙石線の全線運転再開に合わせ、仙石東北ラインが運行開始する。これは、仙石線の松島海岸駅~高城町駅間と東北本線の塩釜駅~松島駅間に接続線を整備し、両線の直通運転を行うもので、東北本線の仙台駅と仙石線の石巻駅を結ぶ。 仙石線では、同ラインの快速列車などと合わせて、震災以前と同じ下り33本、上り33本を運転する。
山田線など2路線3区間がいまだ不通
東北沿岸では震災後、多くの路線が不通となった。復興庁などの資料によると、岩手、宮城、福島3県で被災した路線の総延長2350.9キロのうち、現在も運休しているのは、JR山田線の宮古駅~釜石駅間と、JR常磐線の竜田駅~原ノ町駅間、相馬駅~浜吉田駅間の2路線3区間の計124キロ。相馬駅~浜吉田駅間については2017年春ごろの再開が見込まれている。 今年3月には、JR石巻線で最後の不通区間だった浦宿駅~女川駅間が開通して全線復旧した。復旧のめどが立たないJR気仙沼線、JR大船渡線の不通区間は、BRT(バス高速輸送システム)が代替運行している。