【ウインターカップ2024】東山を支えるアシスタントコーチ、山崎健太郎&狩野皓介「追われるプレッシャーを楽しめるぐらいに」
東山は、この夏のインターハイで悲願の初優勝を果たした。その影の功労者がアシスタントコーチを務める山崎健太郎と狩野皓介だ。チームマネジメントの役割を担う山崎は学校の非常勤として働き、選手たちとの距離も近い。東山のOBでもある狩野は主にバスケの分析を行い「選手たちにも分かりやすく伝える」分析力には定評がある。大澤徹也ヘッドコーチは「役割分担がしっかりできているので、選手にとってもすごく大きな存在」と語る。
「年齢が近い僕たちにしかできないこと」
――今年の4月に、母校である東山にアシスタントコーチとして帰って来ることになった経緯を教えてください。 狩野 地元が島根県なので、大学卒業後は島根県に一度戻るつもりだったのですが、 東山は歴代のチームの中でも強くなってきて、今年インターハイでも優勝したようにメンバーも揃っているので、僕もレベルの高いところで経験を積みたいなと思い、大澤コーチと話をして帰って来ることになりました。 ――山崎コーチは昨年からアシスタントコーチを務めていますが、さらに1人来ると聞いてどうでしたか。 山崎 大澤コーチと話をして、僕は「チームのためにプラスになるのであれば誰でもウェルカムです」と伝えました。OBですし、日本体育大の学生コーチとしてスカウティングなど素晴らしい能力があると聞いていたので「チームにとって絶対にプラスになるだろうから大歓迎です」と言いました。 ――大澤コーチからすごく良い意味でお2人の役割分担ができていると聞きましたが、それぞれの役割を教えてください。 山崎 僕は基本的にチームのマネジメントをしています。選手と距離が近いので、 基本的に選手の悩みごとを聞くことが多く、バスケだけではなく私生活の悩み事を話してくれることもあります。バスケの面ではアップの管理をしています。 狩野 僕は練習終わりの自主練や、映像を見せながらの個人ワークアウトが日常の役割です。試合中はスタッツを取ったり、ハーフタイムで前半の映像を見せて、後半に改善すべきことを、まずは大澤コーチと山崎コーチに話して、選手たちに共有しています。 ――コーチ陣のアプローチやスカウティングの面もチームの成長に大きく寄与しているように感じます。「これがあったから、東山としてすごく成長できて、今回の結果がついてきた」と感じることはありますか。 山崎 それこそ(佐藤)凪は、1、2回戦ではシュートの調子が悪くて、自分の思い通りに行かない時に「ちょっと時間を作ってくれませんか」と僕と狩野の部屋に来ました。コーチの部屋に来ることは普通なかなかないですけど、一緒に話をしましたね。そうしたら次の試合で調子が良かったので「毎晩行って良いですか」と。そこから何人かが部屋に来るようになりました。そういったことは年齢が近い僕たちにしかできないことですし、選手とコーチが心を許してちゃんと話し合えることが結果に繋がったのではないかと思います。 狩野 インターハイ中は山崎コーチと同部屋で、そこにいろんな選手たちが来ていろいろな話をしました。チームとしては、ベスト4に出てきたうち、美濃加茂、福岡第一、福岡大学附属大濠のスカウティングはマネージャーも含めて一緒にやりました。 ――高校からスカウティングを本格的に取り入れているチームはまだ少ないと思います。 狩野 高校生はまだ育成年代で「果たしてスカウティングをしてまで」という葛藤があるんですけど、やっぱり選手たちの目標が『日本一』なので、 そこにはスカウティングが必要になると思うんです。でもスカウティングした内容を全部伝えるかと言ったらそうではなくて、スタッフ内では全部共有するんですけど、まだU16、U18の年代で、その視野で考えてバスケをできる選手は少ないので『今、選手たちに必要な情報』を、コーチ陣が取捨選択をして伝えることが、スカウティングの大事なところだと僕は思っています。インターハイでは本当に、その部分で選手とのコミュニケーションがすごく上手くできたと思います。 ――山崎コーチは東山の変化について感じることはありますか。 山崎 インターハイはアシスタントコーチが1人しかベンチに入れなかったので、夜に映像を見て、こういうセットが来るとかをマネージャーの藤木(蒼太)たちに教えてもらいました。それを僕がインプットしてコートで叫んでいると、相手のコーチからにらまれることもありましたね。ましてや僕は報徳学園のOBなので。愛情として受け止めています(笑)。