福良のまち守る「盾」 兵庫・南あわじ 全長1・1キロ湾口防波堤完成 南海トラフ想定
「世界津波の日」の5日を前に、淡路島南部・福良湾(兵庫県南あわじ市)の湾口防波堤(全長約1・1キロ)や水門の整備が終わり、現地で記念式典が4日、行われた。福良湾周辺は南海トラフ巨大地震により8・1メートルの津波が押し寄せ、同県内最大級の被害が出ると想定されており、津波被害の軽減が期待される。 【写真】福良湾内に設置された「煙島水門」。津波時には海底にある扉が起き上がって波を防ぐ 兵庫県は東日本大震災を受け「津波防災インフラ整備計画」を策定。福良地区は平成25年度~令和6年度に総事業費約140億円を投じ、湾口防波堤と防潮堤の工事を進めてきた。福良湾は、陸地に向けて幅が狭まる地形になっており、湾内に入る津波を抑えるため、防波堤は湾全体に「ふた」をする構造になっている。湾口防波堤の全長は約1・1キロ(高さ5・9メートル)で観光船や漁船が通過できる開口部を3カ所設けるなどした。 このうち湾内の離島・煙島近くに設置された「煙島水門」(幅25メートル、高さ約11メートル)は津波時に扉が起き上がって波を防ぐ「浮上式水門」を採用。平時は扉が海底に倒れているが、全国瞬時警報システム(Jアラート)や一定の震度を検知した際などに原則自動で扉が起き上がる。兵庫県によると、こうした方式の採用は西日本で初めてで、国内で岩手県の大船渡漁港に次ぎ、2例目となる。 4日の式典で、福良町づくり推進協議会の原孝会長は「湾口防波堤の完成が、大災害への備えを再確認する良いきっかけとなることを祈念する」と述べた。