県予選中に父が急逝、緊迫のPK戦でも支えになった言葉…前橋育英DF竹ノ谷優駕が有言実行の選手権制覇
[1.13 選手権決勝 前橋育英高 1-1(PK9-8)流通経済大柏高 国立] 家族への熱い想いを持つ前橋育英高(群馬)DF竹ノ谷優駕(2年)が、宣言通り全国高校サッカー選手権の優勝を果たした。 【写真】日本代表FWとモデル妻がパリ観光「可愛すぎ」「小松菜奈ちゃんとのツーショいいな」 竹ノ谷は今大会に繋がる昨年10月の県予選準々決勝の前日に、父のスベディ・ティカラムさんを交通事故で亡くした。寮生活をする竹ノ谷には「準々決勝が終わった次の日の夜に、母が準々決勝に影響がないように教えてくれた」という。「父はサッカーが好きで、自分も父の情熱に飲まれてサッカーが本当に好き」。そう思い出を語った竹ノ谷はU-17日本代表に招集されている双子の弟MF竹ノ谷颯優スベディ(新潟U-18/2年)と「絶対父のためにもやるぞ。これからもっと頑張っていくぞ」と活躍する姿を届けることを誓い合った。 もちろん強い悲しみを感じるときもあったが、「今まで支えてもらった分もやらないとなという思い」で再びスタートを切ると、本職のボランチと今季から取り組んできた左サイドバックの両方を務めるユーティリティ性を示しながら県予選、そして冬の全国を勝ち上がった。選手権では弟もスタンドに駆けつけていたが、決勝が行われる13日はトップチームのキャンプに帯同するため準決勝までの“共闘”。竹ノ谷は準々決勝後に「弟がキャンプに行って良いプレーをして、自分は国立の決勝で良いプレーをして最高の1日にできたら」と成人の日に懸ける想いを示すと、勢いそのままに決勝へと駒を進めた。 迎えた決勝は前半12分、竹ノ谷のパスがやや弱くなったところからカウンターを受けて先制点を喫した。それでも「ミスしてしまったからには自分がもっと活躍しないといけないという責任もありましたし、負けている状況でも勝ってきた試合もあるので、自分たちのチームならできるぞ、自分もできるぞと思って」引きずらず、持ち前の闘志溢れるプレーで追加点を許さなかった。 1-1で突入したPK戦では、山田耕介監督から4人目のキッカーに任命された。竹ノ谷までは両チームとも全員が成功しており、失敗して次の相手キッカーが成功した瞬間に敗戦が決定するという状況。プレッシャーを感じる中で思い出したのは、試合中も見られるように飲水ボトルに刻んだ「お前ならできる!!」という父の言葉だった。「自分ならできるぞと言い聞かせて、それは父も言ってくれていた言葉なので。自分が決めたコースにしっかりと蹴れたので本当によかったです」と確実にゴールネットを揺らし、優勝へのカウントダウンを進めていった。 昨夏に負った怪我からの復帰を目指して始まった今シーズンは順風満帆な日々ではなかったが、“最高の1日”を迎えた竹ノ谷は「言ったからにはやらなきゃいけない」と弟へのエールも込めて宣言した日本一の達成に胸を張るとともに、今後も双子の兄弟で切磋琢磨していく構えだ。 「弟も今プロのキャンプの方で頑張っていると思う。自分は優勝できたので今日はそこを(弟に)話して、プロのキャンプの方も頑張れよと言いたいと思います。良い刺激し合いをしながら自分も弟と一緒に代表に入りたいです」 来季は最上級生としてチームを引っ張っていく立場になる。竹ノ谷は「前橋育英を最強と言われるようなチームにしていきたい」と力を込め、さらなる成長を誓った。