薬局で販売する茶渋入りチョコレート、茶産業の“渋い”現状を打破できるか
茶渋が入ったチョコレート「芳醇(ほうじゅん)グリーンティーチョコレート」が静岡県内で3月31日から販売されている。一袋に茶カテキン830ミリグラムを含む健康チョコレート、薬局が販売するチョコレートだ。その製品開発や販売の背景には右肩下がりとも言われるお茶産業の“渋い”現状もあるようだ。
芳醇グリーンティーチョコレートを製造するのは、コインチョコを製造しているロック製菓(東京都)。販売はドラッグストアチェーンのウエルシア薬局。一袋にコイン状のチョコが20個入っていて価格は298円(税別)。その味は、チョコレートの苦味の後に茶渋の苦味が広がる二段階。大人向けのチョコレートで「お酒に合いそう」との声も。カテキンやカフェインなどの成分を豊富に含み、メタボ症候群を抑制する健康チョコレートでもあるという。
緑茶チョコレートなどお茶の味や成分を含んだチョコレートは決して珍しくはないが、芳醇グリーンティーの特徴は、茶渋と呼ばれるお茶製造の過程で製茶機械内部に残る揉み込まれたお茶の塊を利用している点にある。従来、こうした茶渋は、お茶製造時に出る副産物として茶工場がただ同然で処分してきた。その茶渋を乾燥して粉砕、パウダー状の粉末にし、今回、チョコレートに混ぜる原料として利用しているのだ。 多くの製茶工場を抱える静岡県島田市。茶業振興は市政の重要課題だ。しかし、その現状については、「右肩下がり。後継者問題もあり課題が山積している」と担当者は打ち明ける。市は、「地球上でもっとも緑茶を愛する街に島田市はなります」とのメッセージを発信し、島田市緑茶化計画なるシティプロモーションを展開中で、その音頭をとる染谷絹代市長は常々、茶工場から出る茶渋を有効に活用することができないかと考えていたという。そこに緑茶の効能を研究している横浜薬科大学の渡邉泰雄教授から茶渋活用の提案があったことから茶渋のチョコレートの製品化が実現した。
地球上でもっとも緑茶を愛する街、島田市から生まれた「芳醇グリーンティーチョコレート」。4月8日からは首都圏を中心に全国の主要なウエルシア薬局でも販売がスタートするとのこと。ロック製菓では1万5000個を製造、夏期の5~10月は製造を休み、10月より再開し年間10万個の売り上げを見込んでいるという。