岩田寛が国内メジャー初V 石川遼とのプレーオフ制す まさかの声援に「泣きそうになった」/国内男子ゴルフ
BMWツアー選手権森ビル杯最終日(9日、茨城・宍戸ヒルズCC西C=7430ヤード、パー71)首位から出て68で回った岩田寛(43)=フリー=が、通算13アンダーで並んだ石川遼(32)=CASIO=とのプレーオフを1ホール目でパーとして制し、悲願の国内メジャー初優勝を果たした。ツアー通算6勝目。43歳130日でのメジャー初Vは史上最年長記録となった。今年1月にはツアー通算20勝の谷口徹(56)=フリー=から「メジャーを勝て」と厳命。石川との激戦を制して勝利の美酒に酔った。 【写真】プレーオフに敗れた石川遼は岩田寛と握手を交わした 1メートルのパーパットを決めた岩田は、敗れた石川と固く手を握った。63の猛チャージで上がってきた強敵とのプレーオフ。耐えて耐えてつかんだ初のメジャー優勝に、ホッと息をついた。 「正直に言うと、ほとんどが遼の応援だと思っていた。でも18番のティーグラウンドに行くとき、『岩田頑張れ』と言ってもらえて、泣きそうになった。最高です」 順調にスコアを伸ばしたが、5組前でプレーする石川の追い上げを察知した14番で初のボギー。「思い出したくないくらい震えた」と17番(パー4)で3パットのボギーをたたき、石川と同スコアでホールアウトした。 これまで2戦2敗のプレーオフ。だが、声援の後押しもあり、冷静だった。両者パーオンを逃して、石川はグリーン右手前からピンまで5メートルほどショート。パーパットも外した。一方の岩田はグリーン奥から1メートルにつけて、パーセーブした。 43歳の今もなお、若手隆盛のゴルフ界で存在感を示す。「けがをしない。体を大きくしても柔軟性を失わないこと」と体を整えてきた。今大会の平均パットは1・6939で7位、パーキープ率91・667%は1位と熟練の技が光った。 ひょうひょうとした性格で、自身を「変わっています」と自虐的に言う。そんな43歳が「赤ちゃん(のような存在)。尊敬はしていますよ」と慕うのが、ツアー通算20勝の谷口徹だ。初シードで臨んだ2007年。後輩も少ない中、食事に誘ってもらった。「谷口さんがずっとしゃべっていて。俺、いるのかなって」。人見知りを発揮したが、面倒見のいい先輩とは、その後もオフに合宿もともにして学んだ。 今年1月。新年のあいさつで、「メジャー、勝てよ」とメッセージをもらった。2018年の国内メジャー「日本プロ選手権」を史上最年長の50歳で制した谷口の言葉だけに、心に強く訴えるものがあった。これまで考えたこともなかったというが、「意識が変わりました」。今季国内メジャー初戦で史上最年長でのメジャー初優勝。いきなり約束を果たした。