ヘビー級統一戦はウシクがフューリーを判定で返り討ち …ファイトマネー総額約295億円のビッグマッチ
◆プロボクシング ▽WBA、WBC、WBO世界ヘビー級王座統一戦12回戦 〇オクレクサンドル・ウシク (判定) タイソン・フューリー●(21日=日本時間22日、サウジアラビア・リヤド) WBA&WBOスーパー、WBC世界ヘビー級統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が21日、サウジアラビアの首都リヤドで前WBC王者で現WBC&WBO1位、WBA2位タイソン・フューリー(英国)と対戦。ウシクが3―0判定勝ちで3冠王座防衛に成功した。 戦績は37歳のウシクが23戦全勝(14KO)、36歳のフューリーが34勝(24KO)2敗1分け。 元クルーザー級の世界4団体統一王者で身長190センチ、前日計量226・0ポンド(約102・5キロ)の王者ウシクに対し、身長206センチで服を着たまま前日計量で過去最高の281・0ポンド(約127・4キロ)だったフューリー。体格で勝る挑戦者が長いリーチを生かしたジャブを突いて上下に強打を打ち込むと王者も左強打、右フックで応戦した。レノックス・ルイス、オスカー・デラホーヤ、ロベルト・デュラン、ウラジミール・クリチコら往年のスーパースターたちが見守る中、中盤からウシクが攻勢に出たが、フューリーも負けずに強打で対抗した。11回、12回と激しく打ち合った2人だが、ともにダウンを奪えず試合終了。ウシクはひざまずいて十字を切って見せた。 判定はジャッジ3人ともに116―112とウシクを支持。王者が3つのベルトを死守し、5月に行われた初戦に続いてフューリーを返り討ちにした。「僕の勝ち。いいことだよ。いいことだよ。神様、ありがとう彼は偉大なファイターで、偉大な対戦相手だ。僕のキャリアの中でも信じられないような(初戦と合わせた)24ラウンドだった。フューリー、本当にありがとう」とウシク。フューリーは「神に誓って、少なくとも3ポイント差で勝ったと思った」と吐き捨てた。「今度も勝ったと思ったが。ノックアウトされないと、こういうこともあるんだ」と悔しさをぶつけた。 5月の試合ではウシクがダウンを奪うなどしてWBC王者だったフューリーに2―1の判定勝ち。クルーザー級に続き、ヘビー級でも世界主要4団体王座統一に成功した。2階級での4団体統一はテレンス・クロフォード(米国)、井上尚弥(大橋)に続き3人目の快挙だった。両者の対戦契約には再戦条項があったため、指名試合を回避することからウシクはIBF王座を返上、今回は3団体王座の統一戦だったが、井上尚弥が11月に推定総額30億円のスポンサー契約をしたことで一気に日本でも名を広めたサウジアラビア最大の国家的イベント「リヤド・シーズン」で行われた。英国メディアによると、ファイトマネー総額は1億5000万ポンド(約295億円)でウシクが50%以上を受け取ることになっているとされている。両者は19日の記者会見で、11分以上にわたるフェースオフ(にらみ合い)で闘志をぶつけ合っていた。 試合後、リング上にIBF王者ダニエル・デュボア(英国)が乱入。27歳の若き王者はウシクに「前回奪われた勝利のリベンジしたい」と要求した。デュボアは23年8月にウシクと対戦、5回に放ったボディーがローブローと判定され、4分の休憩後に再開したものの、8回にダウンを奪われ、9回に再び倒されたところでTKO負けしていた。これに対し、ウシクもリヤド・シーズンの最高責任者であるサウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アル=シェイク長官に「デュボアとの再戦を組んでほしい」と訴えた。デュボアは来年2月にジョセフ・パーカー(ニュージーランド)との防衛戦が控えており、それをクリアすれば、ウシク―デュボアの再戦に大きく近づくことになりそうだ。
報知新聞社